EVシフトで部品点数は増える
EVシフトの流れが失速しています。
半年、1年前であれば、相当な鼻息でEVシフトが語られ、中国BYDがすごい勢いである、日本メーカーは顔色なし、と報道されてきました。
自動車の部品点数は3万点あるが、EVシフトによって1万点が不要になり、そのために失職、倒産する工場が続出する、とも。
それでも、当時のトヨタ社の開発姿勢や社長の発言を聞いていると、EVに対する「?」を禁じ得ない雰囲気はありました。
それが、この冬を迎えたあたりから風向きが大きく変わりました。EV社に対する評価が怪しくなってしまったのです。
世界シェアで14.6%(2023年)にまで増加してきましたが、2022年からの伸長率はほぼ横ばい。その要因は次のようなものです。
・EVカーの価格が高い ・CO2は減らないらしい ・寒冷地では走れない ・充電時間が長い
EVカーの価格が高くても、ハリウッドセレブなどは環境見栄をはれるので問題はないのですが、実際にはCO2を減らすことにはつながらないという意見が目立つようになってきました。
「生産時までにCO2を大量に排出したとしても、10万キロ走行を超えればCO2はトータルでマイナスになるからいいのだ!」
と説明するのですが、「いや、その頃になったらバッテリー交換するからリセットだろう?」という瑕疵が見えてきてしまったわけです。
さらに、積雪が多いような寒冷地ではうまく走れず、生命に関わる場面も。環境への関心が高い北欧でこそ不向きということで、これは致命的でした。
さらに、充電ステーションが少ない、あっても充電時間が長くて充電渋滞が起きる、仕事には適していない、というわけです。
(その他にも、充電の電気料金が高すぎて驚いた、航続距離が短いが、長くするためにバッテリーを積み増すと重量がかさんで停止時にブレーキが効きづらくなる、いやいや2035年にはバッテリー原材料が枯渇する、などなど)
よく考えるとEVは買えない
先の中国メーカーですが、すでに中小メーカーは撤退、解散が起きており、BYDも売上の半数はPHV(プラグ・イン・ハイブリッド)だというのです。
各社は日本へも進出していますが、日本のユーザーは購入時に真剣に検討するせいか、ほとんど売れていませんでした。
PHV(プラグ・イン・ハイブリッド)とは、ガソリンエンジンとバッテリー&モーターの両方が搭載されているクルマです。つまり、ダブルです。部品点数は……増えます。
ということで、EVシフト狂奏曲によって、結局、部品は増えるのです。
かつて、OAによって紙は減る、ペーパーレスだ! と宣言したものの、実際はPC導入で紙が激増したのと似ていますね。
今後、上に書いたようなEVカーの欠点は克服されていくでしょう。しかし、それには技術が必要です。改善技術を持っているのは誰か? それができるのはどこか?
日本ですね。
水素カーなどの代替案で先行しているのも、日本ですね。
EVシフト第2ラウンドは引き分けですが、第3ラウンド以降は日本の勝利になるかもしれませんね。
製造業マーケティングコンサルタント、弓削 徹(ゆげ とおる)でした。
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