DX的キーワード主義
DXなキーワードとの付き合い方
(とくにノウハウなどについて書いた記事ではないので、時間のある方だけお読みください)
じつはキーワードに食傷
CASEとは自動車業界の新語だそうで、Connected(コネクテッド)、Autonomous(自動運転)、Shared & Services(カーシェアリングとサービス)、Electric(電気自動車)の頭文字をとったものです。
MaaSとは「Mobility as a Service」のことで、ITを活用してクルマをはじめとする交通移動を1つのサービスとして捉え、シームレスにつなぐ新たな『移動』の概念だそうです。
「今日は、体調がはかばかしくないな」と感じても、二日酔いだからだと思えば平静でいられますが、ワケ知り顔の友人に「胃がムカつくなら『逆流性食道炎』かもしれないよ」と病名をつけられてしまうと、(えっ、じゃ病院に行ったほうがいいのかな…)と考え出してしまう。
それほどたいしたことでなくても、キーワードのチカラは侮れないですよね。
最近、よく聞くキーワードに「DX」というものがあります。
こうした英語のイニシャルは非常にあいまいなもので、「ABS」と言ったら、自動車産業の人なら「アンチロック・ブレーキング・システム」だと思いますが、金融業の人は「資産担保証券」のことと思います。
弓削はコンビニで売られるような加工食品の商品開発をしていましたので、「CVS」という言葉は言い慣れています(コンビニエンスストアのことですね)。
ところが、以前はIT業界の仕事もしていまして、そちらの業界の人たちは「CSV」と、よく言います(Excelのファイルなんかのことです)。
SEの人たちと打ち合わせをしていて、「CSV」と言うべきところを、間違って2、3度も「CVS」と発してしまい、(この人は何を言ってるんだ??)という目で見られてしまったこともあります。
「ニーズではなくウォンツを…」なんていうのを聞くと、自分がキーワードや言葉を的(まと)に仕事をしていながら、(たかが用語)と思ってしまうことがあるのですね。
DXはデラックスではない
それで、「DX」ですけれど、これは「デジタル・トランスフォーメーション」の略称で、デジタル技術を活用して新たなビジネスモデルを構築し、競争優位を確立すること、というほどの意味です。
DXはデラックスではなく、「トランス」には「超える、クロスする」意味合いがあり、「X」のイメージなのでDXと表記されるのだそうです。
(正直なところ、この目新しいギミックに本キーワードの普及可能性のすべてがあると思います)
ところでこれは経営者層にウケる、経営者向けの言葉ではないかなと思ったりもします。
ICTの前はIT、その前はOA、FA。
途中には、スマートとか、クラウドとか、シンクライアントとか、いろいろありましたね。
いずれもキーワードで新しさを出す戦術では? と勘ぐってしまいます。
そもそも、はじめてDXという言葉が生まれたのは2004年にさかのぼります。
スウェーデン、ウメオ大学のエリック・ストルターマン教授が提議したのです。
これを2018年の秋ごろに経済産業省が見出し、日本の産業界に向けて提唱をしました。
そのためか、DXの事例を聞くと、「amazonのレコメンデーション機能が…」とか、「マイクロソフトはMicrosoft 365へ切り替えたことにより…」、「メルカリはスマホでUIを極めたため…」のように、DX以前に実現したような件ばかりになります。
IT畑に何か革新的な新技術が結実して「いままでできなかったコレができるようになりました!」というわけではないので、違いや線引きがわかりません.
AIや5G、IoTによる変革ならわかりやすいのですが、それでは矮小化した理解になってしまいそうです。
日本はデジタル技術を効率化やコスト削減(マイナスを消す)のために使ってきたが、米国は新たな事業立ち上げや戦略を実現化する(プラスを生む)ために使っている ── 。
こう言われると、「そういうものか」と納得はしてしまうのですが。
結局のところ製造業の現場としては、これまでと変わらず、現実的な価格で可能なIT技術を用いて、できることを成し遂げていくのみです。
ただ、劇的な変革に結びつくやり方はないだろうか、とは考えてみたいですね。
ということで、仮に1年ですたれてしまうキーワードだとしても、弓削はこれを販路開拓に利用しますよ。
支援先の工具メーカーのメッセージとして、“この工具をシステムで導入することで生産性が革新する! DXの実現へ” とか訴求しようと思っています(笑)。
製造業のマーケティングコンサルタント、弓削 徹(ゆげ とおる)でした。
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