5Gの可能性を考える
5Gとは、第5世代移動通信システムのことです。
特徴としては、「超高速」「低遅延」「多数同時接続」などとされており、動画や重たいデータのダウンロードはあっという間に終わるようになりますし、無医村などの遠隔医療も実用的に使えるようになりますし、夜6時の渋谷のど真ん中でもケータイがばっちり繋がったりするようになるでしょう。
■5GとIoTでバラ色の未来へ?
中小製造業の現場においても、とくにIoTの基盤としてさまざまなことが可能になり、市場としても5Gによって変わるユーザー体験に向けた商品・技術が広がる予定です。
市場性が高まる分野としては、シンプルに想定できるアイテムもありますが、結果としてどんな用途が広がるかは予測がつきません。
あまり夢みたいなことを言っていても仕方がないのですが、現実的なところから対応していくことと、夢のある分野に向けて技術を磨いていくことの、両建てで行けたらよいのではないでしょうか。
ということで、5Gインフラを利用するユーザー向けの商品や、その商品やインフラを手がける会社へ提供できる商品・技術というニーズを勘案してみる価値はあると思っています。
しかし、「新しい市場に向けて、新しい技術を開発使用」ということでは成功確率が高まりません。
弓削がいつも申し上げているのは、ストレッチです。
つまり、社内にある資産をストレッチして(伸ばして)、新しい柱(大も小も)ができないかと模索することが、独自性を出せることであり、ニッチなニーズに刺さることであり、設備投資や人材の手当ても少なくすむことであり、結局は成功確率を高めることになるというやつですね。
コロナ禍では「リモート」が合言葉になりましたが、5Gは、まさにリモート化やオンライン化を実現する技術です。
IoT系の製品では、一気に普及が進む分野、用途もあるでしょう。
文系の知識で、できるだけ頑張って書いてみます。
■5Gの進展により活発化する製品カテゴリーは何か
単純に言えば、5G対応スマホやタブレットへの買い替えが起きますので、半導体関連などの需要は1ターンします。有機EL、LED、充電池などもそうですね。
さらに先を見ると、あらゆる場面でビッグデータを収集できるようになるので、人工知能の学習スピードが一気に高まります。
とうぜん、ロボットももっと活発に動いてくれるようになります。
製造作業の習得やサポートに使用するARも、大量のデータをやりとりできるようになります。
※AR = Augmented Reality(オーグメンテッド・リアリティ)、拡張現実のこと。
VRはバーチャル・リアリティ。
そのため、施設の防犯・監視カメラは無線化するでしょうし、
生産管理カメラも無線化し、スマホでさくさく閲覧できるでしょうし、
(逆に言えば、ケーブル製造は頭打ちになる?)
製造ロボットは遠隔操作になっていくでしょうし、
工作機械の動作状況を進化したセンサーがビッグデータとして取得、データベースに蓄積し、そこへいつでもスマホでチェックできるようになるでしょうし、
建設機械の遠隔監視・操作は進むでしょうし、
ドローンはさらに高精度化して業務用用途が拡大するでしょうし、
デジタルサイネージは遠隔配信・コントロールになるでしょうし、
会議は外出先からスマホで参加可能になるでしょうし、
人がケアしてきた機械清掃や整理がロボット化できるでしょうし、、、
ということで、何か自社の技術と相性がいい分野、応用の範囲にあると考えられるアイテムには何があるか、考えてみたいですね。
■データが摂取されるリスクにもさらされる
というように、よいことばかりを書きましたが、反対にリスクもあります。
仮に5G機器を乗っ取られるようなことがあると、あらゆる情報が窃取されます。
そもそも情報をエアで飛ばすということは、キャッチされる危険性が増すことと同義です。
もちろん、暗号化はされていますが、暗号は解くことができます。
自社のコア技術や特許申請前の技術を窃取・傍受されたら、企業の存続にも関わることになります。
5G機器を提供するメーカーが、当初はクリーンな製品を納品しておきながら、ファームアップなどをしていくなかで、ユーザーが気づかぬうちにデータ窃取が可能な環境へと改変されることもありえます。
こうした危機感を、政府や行政が持っていない国は、企業体として警戒をしていかないといけませんね(限界がありますが)。
製造業のマーケティングコンサルタント、弓削 徹(ゆげ とおる)でした。
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