2024年のマーケティング市場を予想しよう!
3つの縮小市場とは
私が向かい合っているものづくりの現場、とくに町工場と呼ばれる企業環境では、現在は在庫調整の期間だと思います。
コロナ終了後のプチバブルが2023年度前半に発生し、コンテナ運賃は一時期、数倍にまで高騰しました。飲食店も予約が取りづらくなったり、旅行も盛んになるなど、リベンジ消費が起こったのです。
その後、米国では物価が上がりすぎて生活者は将来に不安がよぎり、中国ではマイナス成長と思われる不景気が襲っています。
そのため昨年末から現在も、ダブついた在庫などの調整待ちなのです。
一般国内市場の動向
一方、一般的な国内市場はどうでしょうか。
私は3つのコンパクト化が進むと考えています。
一つは、時短化という時間のコンパクト化です。
昨年末、ニッスイやニチレイ、マルハニチロ、NIPPNなどの冷凍食品メーカーからワタミまで、おかずとライスまで入ったワンプレートの冷食を競い合うように発売しています。中小メーカーまで入れれば、相当な市場です。
これは、単身世帯が増えて、自炊の時間がとれないため。若者も単身なら、高齢者も単身。30代〜40代も非婚世帯が増加しています。
一方で夫婦である世帯も共働きなので夕食をつくる時間も、一緒に食べる時間もとれないのです。
タイパという言葉が流行しましたが、誰もが忙しいいま、時間ほど価値のあるものはないと再認識しているのでしょう。
二つ目は、小型化であり場所のコンパクト化です。
ラックのような家具も雑貨もキッチン用品も、オフィスであってもサイズダウンが注目されています。巻きの長さが2倍などのトイレットペーパーも売れています。どんなものでも縮小版が買われるのです。
三つ目は、値引きであり価格のコンパクト化です。
2023年は過去30年間でいちばんの値上げラッシュでした。それが一通り行き渡り、一息ついています。賃金は上がっても物価上昇ほどではないため、可処分所得は減っています。
これに対して、イオンでは60品目のPB(プライベート・ブランド)において値下げをおこなっています。また、ガストは30品目ほどを値下げしました。なか卯や幸楽苑なども同様です。スマホでも、Android端末の値下げ販売をよく見ます。
体力のある企業なら、値下げによって一人勝ちのポジション獲得を狙っているのでしょう。
円安市場は続くか
ということで、以上三つの縮小、コンパクト化が新年度市場への視点です。B2Bであっても、B2Cであっても、相変わらず厳しい市場環境は続く、といった状況でしょうか。
次に、金属など資材価格の変動を考えるうえで参考となるドル円レートについて見ていきます。
為替レートを決定する要素は、基本的には発行通貨量です。これに彼我の金利差、有事などのイベントが影響を与えます。
現在の円安は、米国との通貨発行量を映したものですので、双方の発行量が変わるような何かがなければ変動には至りません。
そのため、しばらくは1ドル140円前後で推移することになるでしょう。
ただ、為替はギャンブル市場ですので、高下は必ず起きます。プレーヤーは高下がなければ収益をあげられませんので、どこかで細かい高下を仕掛けてくるわけです。
それでも、大勢は変わらないといえるでしょう。
製造業マーケティングコンサルタント、弓削 徹(ゆげ とおる)でした。
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