製造業、コロナショックの影響度は?
中小製造業の景況動向について書きます。
さて、製造業は全般的にコロナによるダメージは少なく、業績の上方修正が相次いでいます。
全業種で見ても、2020年は倒産企業件数が例年を下回っており、TVワイドショーや全国紙が伝えるような経済危機はありません。
製造業の受発注サイト「エミダス」を展開するNCネットワークの調査によると、「景況感は改善している」「変わらない」とする回答が過半を占めています。
とはいえ…
隣接分野でも好不調が分かれる
…調査期間は2020年の12月半ばでありまして、現下の第三波を受けてどうなるかは予断を許しませんし、就業者数は非正規を中心に減少してもいます。
セクター単品で見ていきますと、化粧品やアパレルは売り上げを落としている、食品は業務用はダメだけれどB2Cの食品やお菓子は強い。
自動車も想定より売れていて、むしろ半導体が品薄なので思うように生産できない、など。
売れなかったもの
・化粧品
・かぜ薬
・ガム、キャンディ
売れたもの
・衛生関係(マスク、体温計、石鹸)
・蜂蜜
・ごま油
支援先でも、B2B系は安定。B2C比率が高い企業であっても業種性質によって、やや軟調であったり、好調であったりバラバラです。
リスクには慣れている製造業
そもそも製造業とは、日頃からリスクをとっている業態です。
売れるかどうかわからないモノを開発し、生産する。
売れなければ在庫の山。売れても薄利多売となることも少なくない。
志なくしてはやっていけない分野です。
一方、流通などその他の業種はどうでしょう。
売れそうな商品をピックアップして販売する小売チェーンや、横並びのサービス業、顧客がリスクをとる格好の金融、不動産。
日頃、リスクをとってこなかった業態が、時に大きな危機にまみれることはあるでしょう。
これからの進路を示すキーワード
過去、円高不況、バブル崩壊、ITバブル崩壊、リーマンショック、東日本大震災、逆にチャンスとしてはアベノミクスがありました。
定期的に危機は起こってくるので、経営者としては準備ができていなければいけません。
アベノミクスの時に、「ウチには何の恩恵もない」と自嘲していた経営者がいましたが、それは経営者の先を読む力量が問われている。
自社が恩恵にあずかれるような方向に動かなければならない。
わからないのなら、ますは内閣府のウェブサイトを見てみてください、と。
また、公共が顧客である支援先企業では、予定納品が粛々と進む一方、来期に向けて同商材の位置づけを変えることで政府肝煎のニーズ(働き方改革)に照準を合わせるプロジェクトが進行しています。
コロナ禍によって、製造業はどう考えて動けばいいのか。
これに対するヒントを、セミナーなどで5つのキーワードを提示しながらお伝えしています。
5つのキーワード
国内化 分散化 切実化 遠隔化 電信化
サブ的なキーワードとしては、省人化、在庫化、SC組み換え、内部留保、不要不急、在宅化、DX、リモート、などなどを挙げることができます。
すぐれた中小製造業はどんな危機も「想定内」
中小企業に統計の平均値やマクロ経済動向は当てはまらないといつも申し上げています。
ある特定分野が総崩れしても、取引先の数社が元気なら中小企業は生きていけます。
斜陽産業で生き残れれば、残存者利益が発生もします。
マクロよりミクロ。統計上の閾値が通用しにくいのです。
ですので、準備のできている経営者、転身できるフットワークの軽い企業にとっては、いかなる危機も他山の石。
「想定内…」とつぶやきながら、次へ進むのです。
製造業のマーケティングコンサルタント、弓削 徹(ゆげ とおる)でした。
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