生成AIをどう使うか
生成AIが仕事にも利用できるレベルになり、組織単位で導入している企業も多くなってきました。
このコラムではどんな目的にどのAIを使うべきかの、弓削徹なりの現時点(2024年7月)でのガイドを書きます。基本的には「課金なし」の生成AIサービスが対象です。
まずは現在、提供されている主なAIを見てみましょう。
chatGPT パイオニアと言っていいOpenAIの生成AIです
COPILOT chatGPTを活用したマイクロソフトのサービス
GEMINI Google発の生成AI。元はBARDと呼ばれていました
Claude Anthropic社による生成AI。開発者は元OpenAIの人
Perplexity 元Google社員が立ち上げたAI。生成AIと検索のいいとこどり
そのほかにも、画像・動画生成AIや、楽曲生成、資料作成など、いろいろありますが、それはwikiでも調べられますので、↓下部にまとめておきました。
さて、ここからは弓削の評価です。
企画系ならClaude3.5
一般的にメジャーなのはchatGPTですし、使い方を指南する書籍もたくさん出ていますので、まずは日常使いしていくのがいいでしょう。
その上で、自身にとって相性がいいのはどれ(誰?)なのかを知りたい──。上に書いた5種類のサービスに同じプロンプト(指示や質問文)を入力して、どれがもっとも有用な回答を出してくれるかを、いろいろな課題で調べました。
その結果、もっともクリエイティブなサービスはClaude3.5でした。
これは、「キャッチコピーを書いてください」や「ネーミングを考えてください」、「書籍の目次をつくってください」などのリクエストに対し、もっとも納得のいく回答を出してくれたということです。
一般に「面倒な作業は生成AIに任せて、人はクリエティブな仕事を…」と言われますが、使い方によってはAIは非常に創造的です。プロンプトが的確であれば、なかなかよい回答を導き出してくれます。
ちなみに、画像生成AIは課金が前提となるサービスがほとんどですが、COPILOTは無料でも画像を生成してくれますので、試してみてください。
事実を含むならPerplexity
生成AIを使い慣れていない人は、つい事実を訊いてしまいます。例えば、「いまの総理大臣誰?」のような質問ですね。
けれども生成AIは事実が苦手です。無料のAIサービスでは過去のある時期までのウェブ情報しか承知していません。そのため、固有の氏名を挙げて「この人は何をしている人?」と訊いても、テキトーな回答やハルシネーション(ウソ)が返ってきてしまうのです。
ところが、Google出身者が立ち上げたPerplexityは、リアルタイムでウェブをクロールして回答してくれます。そして回答の根拠になったウェブサイトのリンク数ヵ所も提示してくれます。出典が明らかなのは安心ですね。
そのため、事実を含んだ回答を期待するときはPerplexityを使うことをオススメします。
生成AIには「網羅」してもらう
コンサルタントはMECEであることを重視します。
これは、「モレなく、ダブりなく」の意味です。
例えば、犬を分類するときに、「大型犬・中型犬・小型犬」はMECEですが、「室内犬・室外犬・番犬・猟犬」ではダブりがあるのでMECEではありません。
提案書や分析レポートなどを作成するとき、前提としての事象を網羅していないと、必ず「こういうケースもあるのでは?」とモレをツッコまれます。そのため、全般を網羅した上で提案部分を強調するという枠組みが必要なのですが、その網羅性を支援してくれるのが生成AIなのです。
キャッチコピーの方向性なども、しつこく訊いていけばかなりの網羅性を生み出してくれるでしょう。企画を考える上で「壁打ち」の相手をしてもらうときは、自身のヌケ・モレをチェックしてもらう使い方が有効です。
生成AIとは一緒に成長する
大学の授業や講演会で、よく「〇〇の分野でもAIを使ったほうがいいですか?」と質問が出ますが、それはもう「使う」の一択です。
自分の専門領域はもちろん、「苦手・下手だ」と自覚がある分野ほど、AIを使ってください。
上手な人がAIを使っても成果は少ししか伸長しませんが、下手な人が使うと劇的にアウトプットのパフォーマンスが向上することになり、おトクなのです。
「AIに頼って思考力が落ちる」ことも事実だと思いますが、それは「自分で思考しつつAIも使う」という付き合い方によって改善されます。
「まだまだAIは実用のレベルではない」と言う人もいます。しかし、生成AIの進化スピードは恐ろしいばかりです。毎日のように、何らかのAIニュースが報道されています。
どう考えても将来的には必須になるのがAIとともにあるビジネスや生活であり、AIを使いこなさなければ仕事にならない時代が来るでしょう。
そのときのためにも、AIを使いこなす技術を養っていく必要があるのです。
プロンプト入力も簡単になっていく
現段階では「プロンプトの入力技術で差がつく」とされていますが、進化の過程で生成AIはどんどん人間らしくなり、誤記入しても、言葉が足りなくても理解してくれるようになっていきます。
不足情報があれば、向こうから問いただしてくれるような機能もつくでしょう。そうなれば、普通に人とコミュニケーションできる素養があれば問題なく質問することができるようになります。
将来は、スマホ端末が生成AI的になっていき、自分の予定や約束、アイデアや気づき、買い物リスト、冷蔵庫の中身などを音声でランダムに入力しておけば勝手にスケジュール化してくれて、「明日の予定は?」や「免許の更新はいつだっけ?」などの質問にさっと答える個人AI秘書のようになっていくと思います。
つまり、何でも検索でわかる世の中でも調べられない事項、例えば職場のルールや書類の置き場所、手帳の文字が読めないアポイントメントなど、ドメスティックな疑問に答えてくれる「検索」になってくれるのです。
カタチのないドラえもんに?
そうかもしれませんね。
とにかく、社会はどんどん便利になっていきます。
一方で、IQの高い人が「AIは人類の脅威である」、「AIが人類を滅ぼす」と発言しています。(故スティーブン・ホーキング氏、イーロン・マスク氏、ニック・ボストロム氏など)
でも、AIはしょせんは電気製品です。普通に設定して稼働している限りは脅威にはならないでしょう。
ただし、問題なのは「包丁は人を殺そうとはしないが、人は包丁を使って殺人を犯す」という事実です。
最近、カドカワがランサムウェアで恐喝されましたが、これもネットワークシステムがわるいのではなく、使っている集団がわるいのです。世界にはならずもの国家とかテロ支援国家といわれる国や犯罪者を大量に輩出(排出?)している民族もあります。
そうした民族やテロ国家が、悪事を働く目的でAIをつくったり、設定を改悪したりすれば人類の脅威となることは容易です。恐れるべきはAIではなく、AIを使う悪人なのです。
*参考付記 生成AIサービス
■その他生成AI Hugging Face、DeepAIほか
●wrtn(リートン) 各種生成AIが無料で使えるサイト
●Google notebookLM 大量文書を読み込んで活用できるAI
●Rufas Amazonの買い物情報を教えてくれるAI
■画像生成AI Midjourney、Stable Diffusion、DALL-E 3、Adobe Firefly、canva、Bing Image Createrほか
■動画生成AI Sora(予定)、Runway AI、Pika、Dream Machine、InVideo、NoLang(解説動画生成)ほか
■文章生成AI Notion AI、Catchy、Jasper、Copy aiほか
■資料作成AI Gamma、イルシル、SlidesGPT、SlidesAI、COPILOTfor powerpointほか
■楽曲生成AI Suno AI、Amper Music、AIVA、Humtapほか
製造業マーケティングコンサルタント、弓削 徹(ゆげ とおる)でした。
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