新規事業の発想ハック・21個

新規事業の発想ハック・21個

新規事業のアイデアを考えていて行き詰まったら、ひねってみてはどうでしょう?

 

ということで、本記事ではアイデア発想に困ったとき、または既存のビジネスをさらに伸ばすための発想法について考えてみたいと思います。

ビジネスモデルをあれこれひねって改善しよう、より顧客に刺さる新規ビジネスを生み出そう、その発想を助けるハックというわけです。

 

1●専門化する

つまり、総合的に展開している商売を、あえて絞り込んでみよ、ということです。たとえば、総合スーパーを経営していてうまくいかないのなら、利益が出ている部門のみを残して、あとは捨ててしまえ、というわけです。

実際、かつてのダイエーのような総合スーパーという業態はどこもうまくいかず、ヤオコーのような食品スーパーが業績を伸ばしました。

百貨店も、その役割を終えたと言われ、いまは不動産業のような儲け方になっています。

まぁ、そんなことを言ったら、新聞社でも不動産でしか儲かっていないところもありますけれど。

 

2●小分けにする

「お一人様市場」に象徴されるように、高齢化、核家族化、単身化が進むと、4~5人用の食品パッケージは敬遠されてしまうこともあります。

また、商品によっては一人用サイズであっても購入をためらうお客様向けに、気軽に購入できる「トライアルサイズ」を設定したら、ウソのように売れ出す、という例もあります。

未知の買い物で失敗したくない、というニーズですね。

また、そこそこの料理を大量に食べたいという人もいれば、少量でも美味しい料理を食べたいという人も一定以上、存在します。

 

3●パッケージ化する

かつてハンバーガーショップのウェンディーズは、店頭で好みに応じて選択・注文できるというのが特長でした。

しかし、日本人はむしろそれを楽しみではなく、苦痛と感じたため、敬遠しました。

この国の嗜好には「定食文化」が合うのでしょうか。

最初からお仕着せ、いいえオススメのセットにしておいたほうが面倒がなく、ウケたりするのです。

メガネですら、最近では定額式のセット販売になってしまいましたね。

 

4●集配する

何につけ、ものぐさな日本。

いままで店頭に出向くのが当たり前だった業界で、集配をしてあげましょう、というスタイルです。

今回のコロナウイルスによって、エスカレートしました。

とはいうものの、人件費の安かった昔こそ、むしろ「御用聞き」のサービス形態は多かったのでは。

酒屋さんなんて三河屋のサブちゃん(出典:サザエさん)が来てくれていて、その後来てくれなくなって、いまはまたカクヤスが配達してくれる、というパラレルな状況になっています。

 

5●高速化する

「1週間かかります…」。これに対して「いや、それは業界の甘えでは?」と別業界から来た風雲児が古い体質の業界に革命を起こして「3時間車検」や、「1時間プリント仕上げ」などというサービスを立ち上げる、というやつです。

役所のサービスも、冷静になってみればほとんどオンラインで高速化が可能だと、今回のことでわかりました。

あとは病院の待ち時間を減らしてくれたら、どれだけ喜ばれるか…。

 

6●低価格化する

これはデフレ下では、かなり出尽くした感があります。

雑貨はほとんど100円になりましたし、床屋さんも1000円カットですし、お寿司も100円で回っています。

ものづくりでいえば、製造コストを20%低減するのではなく、発想を根底から変えてしまうことで70%カットすることで、顧客に喜ばれ、受注も増やす、というようなゼロベースからの取り組みができるといいですね。

 

7●試してもらう

トライアルしてもらえるキャンペーンやメニュー設定をするものです。

食品なら試食、洋服なら試着、その他にも体験、サンプル、モニターとくれば、貴方の使用品に当てはまるものがあるでしょう。この体験をきっかけとして、リピーターになってもらうことが狙いです。

以前、注目されたフラッシュマーケティングも、このカテゴリーに入れてもいいでしょう。

*フラッシュマーケティングとは、割引クーポンをサイトなどで発行し、集客する販促手法。

 

8●貸してみる

高額商品は、かんたんには売れません。

そこで、レンタルやリースで提供しよう、というものです。

リース業者と提携して、3年リース、5年リースを設定すれば、あなたには販売時点で業者から現金が入ってきますし、お客様は金利分を乗せた価格を36回、60回で分割して支払い、即時で経費参入もできる、というものです。

分割払いなどのローン、ボーナス払いを選択してもらえるように設定することもあります。

 

9●サブスクにする

いま流行のサブスク(サブスクリプション)ですね。主に継続して使用される商品などを定額性とするものです。

これまでも、携帯電話の料金プランや、カード会社のリボルビング払いなどもここに含まれるでしょう。

本来は、形のないサービスや、デジタル系で再生産コストが低い商材に向くものですが、いまや

おもちゃや家具、カメラ、そしてクルマまでサブスクになっています。

 

10●頒布会にする

前項のスタイル違いです。

生産にムラの出る野菜や、専門家のお薦めに従いたいワインなどを、いわば「お仕着せ」で毎月販売するものです。

1回の販売で1年12回のおつきあいが発生。ネット通販などにも向いている手法であり、「販売」というより情報や物語、うんちくと共に「シェア」する、という感覚をアピールするとよりよいでしょう。

 

11●シェアする

こちらは、本当にシェアするものです。近年は若年層のシェアハウスやルームシェアなどのライフスタイルが一般的になりつつあるように、「シェア」のイメージががぜんポジティブなものになっています。

部屋以外にも、クルマ、自転車、服など、保管・不使用時がある商品・空間なら、このビジネスモデルが成立するでしょう。

 

12●中古を扱う

ゲーム、書籍などは中古のほうが実は圧倒的に利幅が大きくなります。

高額でなかなか買いにくい、一回使用すると不要になる(ゲームなど)商品に対しては、購入側のニーズも大きいものがあります。

また、「安い使用済み品」と「高いけれども新品」を同時に陳列し、お客様により多くの選択肢を与えることも、サービスの充実につながります。

 

13●修理する

価格では大手量販店にかなわない街の家電店も、緊急時の修理やかゆいところに手が届く助言などを通じて、優位に立てる可能性が出てきます。

パソコンや自転車などでも、大手店舗が力を入れたがらない修理サービスを提供すると、信頼感じ醸成され、立ち寄る顧客が増加、ひいては新品が売れ出すという現象が起きます。

 

14●無関係なモノを扱う

既存顧客に、別の商品を買ってもらうことで重宝がられるということがあります。

製造業以外では、美容室やブティックなど初めての来店時に入りづらい業態に有効な手法です。

低価格の商品は気軽に来店して購入でき、また買わなくとも気まずくないため「ちょっと入ってみようかしら」という動機づくりに貢献します。

できれば商品やサービスに関連のある、しかし最寄り品、衝動買いの対象となるような商品がよいでしょう。

 

15●合体してみる

リンスとシャンプーを合体させてみる、シャープペンシルにボールペンを足してみる、というかつてからある発想法です。

もう少しカッコウよくいうと、クロスセリングのようなもので、スーパーマーケットの精肉売場に焼き肉のタレを置いたり、冷凍ピザの手前にコーラを陳列するというのも近いですね。

コピー機にプリンタ機能やファクス機能などを足してきた過程も、同巧です。

 

16●同業者を集める

寂れてしまった商店街も、ある特定カテゴリー、たとえば家電、スポーツ用品などの専門店を集積させることでよみがえる、という考え方です。

1店舗だけが焼きそばを焼いても何も起こりませんが、街中の飲食店が焼きそばを焼きはじめると、観光客が大挙してそれを食べにくるようになる、というものです。

 

17●高額商品をつくる

「松竹梅のフレーミングの法則」はご存じでしょうか。

800円よりも1,500円のランチを販売したいとき、あえて高額な3,000円のメニューを新設すると、「松竹梅」の枠のなかで真ん中をとって1,500円ランチを注文するお客様が増える、という販売促進の知恵です。

本気で販売するかどうかは別として、高額商品を設定することで信頼感や技術力の訴求ができるなどイメージアップの看板効果が見込まれ、また富裕層向け高級化路線の足がかりができるかもしれない、というものです。

 

18●モノからコトへ変える

以前、製造業のサービス化について記事を書きました。

「お客様はドリルが欲しいのではない、15mmの穴が欲しいのだ」とは、マーケティングのお言葉ですが、たとえば布団なら「高級羽毛使用」より「快適な睡眠」、家具は「ナラ材の1枚板使用」ではなく「心地よいライフスタイル」を訴求するべきだという……。

つまりハードよりソフト、機能よりメリットを売り込む方向への発想のシフトが必要だということでしょうか。

 

19●成長媒体に乗る

CVSが急成長していた時期がありました。

また、インターネットが急発展した時期もありました。それぞれ、CVSで化粧品を売ることに取り組んだメーカーがありましたし、ネットで株やFXを売ることをめざした企業もありました。

そうした成長媒体の端緒で提携し、相乗りすることで、低成長商品であっても、急成長の恩恵を受けることができるわけです。

 

20●協働する

規模は近いけれども業界、商材が異なる別の会社と提携し、お互いがもつ顧客リストへそれぞれ販売促進を実施する、それによって市場をともに拡大していこうというコラボレーションです。

同様に、必要な資材などを共同購入することでコストダウンもはかる、ということも可能。

これを発展させると、数社が提携して、どうしても発注が必要なアウトソーシング分野(例えば印刷)で子会社を出資・設立し、案件をグループ内で還流させる、という取り組みもできます。

 

21●社会的ミッションにする

英国生まれのボディショップは、環境志向の化粧品販売で成功しました。

いまでは、社会起業はあたり前となりましたが、お客様の共感を得つつ販売促進する手法として、福祉や青少年教育、メセナ、地域の清掃などに取り組む、地元の学校の活動を支援するなどのやり方も検討の価値があります。

 

…というように、ビジネスモデルをこねこねひねるハックを書いてきましたが、もちろん、すべての逆もまたアリです。

たとえば、専門化に対して総合化。小分けに対して大容量化など

昔の発想法には「くっつけてみよ」「サイズを小さくしてみよ」…という感じのおおざっぱなものや、カードに思いつくままアイデアを書き込んで分類するKJ法、なんていうものがありました。

「ウチの業界ではコレはないな」と思わずに、あえて異業種の手法を取り込む想定をしてみるのもまた、アリなのではないでしょうか。

 

 

 

製造業のマーケティングコンサルタント、弓削 徹(ゆげ とおる)でした。

 

本コラムは、ものづくりの現場での気づきや日々の雑感、製造業のマーケティングや販路開拓に関するノウハウなどをお伝えするものです。 お気づきのことやご質問、ご要望などがありましたら、お気軽にメッセージをお寄せください。

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