工作機械のオンライン展示会へ
オンライン展示会での開催となった「JIMTOF2020」を“訪問”してきました。
工作機械の展示会ですので、DMG森精機、ヤマザキマザック、アマダをはじめとする有名メーカーが大集合です。
会期は、2020年11月16日(月)から27日(金)まで。
それ以降、12月11日(金)まではアーカイブ期間として設定されています。
まず、カテゴリー別などの企業表示順は、アクセスするたびにランダムに表示され、公平性が保たれています。
これはいい工夫ですね。
右柱は、出展企業がアピールできる欄です。↓
そして、各社の「ブース」のデザインは、ちょうどランディングページのようですね。
トップに画像があり、その真下に「みどころ」が書かれていて、あとは「製品情報」のバナーが並んでいます。
そして最下部には「アンケート」や「お問い合わせフォーム」があるというタテ長のセットです。
トップ画像のサイドには「隣のブースへ」と記された矢印「 > 」があり、どんどんヨコ移動していくことができます。
リアルな展示会場を流し歩いているみたいで、いい趣向ですね。
トップ画像の例。こちらの会社のブースは、トップがイメージ写真だけ。もったいないですね。
逆に、動画のアイコンを掲載しているところもありました(トップ画像の右下部)。
光加工機を出展しているニコンです。
あれ、上部の文字が見切れてしまっていますね。
↓ こちらはマシニングセンターのチャックをつくっているメーカーなんです。
ワークを保持するので、キャッチコピーが「つかみはOK」なんですね(笑)。
(工業系ではない方のために解説。工作機械で削られたりする部品素材のことをワークといいます。チャックは、この部品を取り付けるための器具です。)
差別化はできていませんが、とりあえず記憶に残ってしまいそうです。
次に「製品情報」ですが、クリックして詳細を見たければ、いちいち名刺交換をしなければなりません。
とにかく、より多くの人に閲覧してもらい、接点をつくりたい──多くの会社の気持ちだと思うのですが、これは工作機械業界ならではですね。
小さな町工場では、「工作機械メーカーに『買いたい』と連絡しても、のらりくらりで売ってもらえない」という愚痴をたまに聞くからです。
しかし、逆に考えれば「製品説明パネルをクリックしたら訪問者の情報が自動的に出展者に渡される」わけではないのですよね(そう信じたい)。
もしそうなら、むしろ良心的といえるのかもしれませんね。
検索の精度も確かめてみました(これ、重要です)。
たとえば「チタン」で検索すると6社がヒットするのですが、「チタン加工」で検索すると結果はゼロ。
検索エンジンの精度がもう少し大人だとよいですね。
ちなみに、開催セミナーは、8セミナーのみで、やや貧弱でした。
オンライン展示会としての評価は
ということで、JIMTOF2020のオンライン展示会としての評価はわるくはないと思いました。
もちろん、各社のバーチャルブースは静的であり、立体的な工夫には欠けると思います。
しかし、企業表示順をランダムに入れ替えたり、隣のブースを訪ねていける偶然の出会い演出などはよい工夫ですよね。
それに、シンプルな構造なので、時間のない人もパッパッと回遊することができます。
前々回にご紹介したCEATEC2020などは、凝りすぎていて来場者は効率のよい情報収集はできなかったでしょう。
オンライン展示会の今後はどうなる?
これから開催されるオンライン展示会の出展者スキルアップセミナー講師や来場者向けの基調講演を何件かご依頼いただいています。
そのために、オンライン展示会の構造がわかる出展者マニュアルなどを拝見しているのですが、それを見て思うのは、(だんだんおもしろくなってくる)。
主催者サイドやウェブ構築業者さんも既開催のオンライン展示会を研究しているようで、よいとこどりができてきているのです。
この分では、オンライン展示会も楽しめるもの、よい出会いが見込めるものへと成長していくのではないかと感じています。
今後、リアル展示会が戻ってきたあとも、オンライン展示会を併用することで、遠い地域から、または世界からの参加者を巻き込んで、より影響力を高められる開催スタイルへと発展していくとよいと思ったのでした。
製造業のマーケティングコンサルタント、弓削 徹(ゆげ とおる)でした。
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