付加価値を高める2021年に!
明けましておめでとうございます
さて、2020年はいろいろと想定外の1年でした。
災害に慣れている日本は、それでも諸外国に比べてうまく対応できているのではないでしょうか。
とにかく、2021年は良いことしか起こらない年になることと思いますので、胸を張っていきましょう!
年初にあたり、中小製造業の会社さんに提言をさせていただきたいと存じます。
日本の中小企業の生産性は低い?
政府の成長戦略会議のメンバーであるデイビッド・アトキンソン氏によると、日本の中小企業の生産性は低いそうです。
そのため、日本の成長には中小企業の合併など整理淘汰が欠かせないと主張しているのです。
菅首相もこの説に耳を傾けているとのウワサも聞こえてきます。
以前より、日本のホワイトカラーの労働生産性は低いとか、とくにわるいのがサービス産業であるとか、製造業の現場は優等生であるなどといわれてきました。
そしてこの生産性を向上させるためにはコストを削減したり人件費を抑える、または算出する付加価値を伸ばすなどの対策が必要であると指摘されています。
そのような小手先の数字による改編はともかく、なぜ中小製造業の労働生産性が低いのか、そしてどうすれば高めることができるのかについて考えてみたいと思います。
まず、私の主張では、中小製造業の生産性が上がらないのは大手企業に搾取(さくしゅ)されているから、となります。
なんだか労働組合の人みたいな言い方ですが、まあ聞いてください。
大手企業に搾取されている中小企業
大手企業に頭が上がらず、コスト面でも作業効率、人材の面でも大手企業の要求に唯々諾々としたがってきた結果、中小企業は生産性を搾取されているのです。
大手企業はことあるごとにコストダウン、つまり納入金額の値引きを要求してきます。
また、研鑽に時間のかかるような高精細な技術を求めてきます。
精度を出すために何度もやり直しをしなければならなかったり、歩留まりの低いまま深夜までの操業を余儀なくされたりもします。
その結果、当然のことながら売上(付加価値)は上がらず、生産効率は低いままになるのです。
なぜ、このような非対等な関係性が生まれてしまうのかといえば、まず第一に大手企業に販売力があるからです。
全国に営業所や支店を置き、大勢の営業部隊を持っています。
あるいは、全国流通チェンの店頭フェイスを押さえていたり、海外への販路も握っていたりします。
この強大な販売力に対して、中小企業はまったく頭が上がらないのです。
逆に言えば、中小零細企業には自律的な販売力がないのです。
販路と技術で差がついてしまう
第二には、大手企業は開発技術や基礎技術などにおける蓄積を有しているという点です。保有特許の蓄積も膨大です。
日本の中小製造業が世界最高水準の技術力を持っていることには疑いがありません。
しかし、その技術は「生産技術」や「加工技術」であることがほとんどです。
世界に通用する特許など、知財として付加価値の高い技術や基礎技術については限定的であるといわざるをえません。
そのため、設計や素材などの根幹部分は大手企業に頼らなければ案件(新製品)が生まれてきません。
加えて、戦略性やブランド力の有無についても彼我の差は歴然です。
そのため、中小製造業は大手企業に搾取される構図となり、いつまでたっても生産性が向上しないのです。
では、どうすればこの状況に100倍返しできるのでしょうか。
5つの発想で大手企業に100倍返しだ!!
■100倍返しのための5項目
(1)サプライチェンのコアになる
(2)知財を保有する
(3)独自の販路を持つ
(4)自社商品を持つ
(5)マーケティング戦略を身につける
手の付けやすいことからいえば、サプライチェンのなくてはならないコアになることです。
自社が核となってサプライチェンが形成されていれば、価格決定権なども発生していくでしょう。
次は、知財を握ることです。
大手と中小が一緒に開発したはずの特許が、大手企業の名義のみで申請・登録されることはよくあります。ドラマの中だけの話ではないのです。
中小企業には、当面、製品化される予定のない基礎技術や汎用技術を研究し、特許申請するような余裕はなかなかありません。
そこを、「下町ロケット」の社長のように取り組むことができるか、ということです。
次は、インターネットや共同販売などの別の販路を持つことです。
最初はモノタロウからはじめてもいいでしょう。
次には、そうした販路で売り切りのできる自社商品を持つということです。
「ネジザウルス」のようなパッケージ商品であれば理想的ですね。
そして、最後には、上記のような施策を進めていける素地を作るべく、マーケティング戦略を身につけることです。
マーケティングはどこででも学べる
世にあるマーケティング論の書籍を読んでもなかなか実践に移せる知見は得られないかもしれませんが、まずは第一歩を踏み出してみることが大切です。
弓削のコラムを読んでくださったり、メルマガをとってくださったり、またセミナーにご参加くださっているような方たちは、もうスタートを切っていることと思います。
ですが、そうではない方でも、ググってみるだけでもいろいろな知恵を見つけることができるはず。
あるいは、社会人でも入学できる大学院にて学ぶこともできますよ。
日本工業大学大学院 ← MBAではなくMOT(技術経営修士)を取得することができます。
ということで、2021年は、ぜひ自社の価値を高めるために加速する年としていただければ幸いです。
ぜひ、一緒にがんばっていきましょう。
製造業のマーケティングコンサルタント、弓削 徹(ゆげ とおる)でした。
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