ネーミングのチカラで選ばれる
あるIT企業に呼ばれてネーミングのセミナー&相談会をしてきました。
そこの会社では開発担当者さんがネーミングに悩んでいるというわけです。
そこで、まず全般的なネーミング講座をさせてもらい、その後、個別的なご質問、ご相談に答えさせてもらいました。
システム、アプリの命名傾向
個別的なアドバイスですが、ITのシステム系というとことで、MA(マーケティング・オートメーション)のネーミングを例にとってお話ししました。
例えば「Bownow(バウナウ)」。これは犬の鳴き声である「バウワウ」のシャレですね。
「いま吼えろ」ということ(?)なら、システムと関係があるようなないような。。ただ、印象的であり、記憶しやすいというところは高得点ですね。
そして、「リストファインダー」。これはリストをつくれますよ(探せる)、ということでズバリの意味に近いところです。ただし、やや長めであり、面白みもない。しかし、わかりやすさは大切ですね。
そして、惜しいのが「SATORI」。「悟り」ということなら、何かを悟ってしまうわけで、それは取引するべき相手(?)ということになるでしょうか。これは響きが日本語で面白いだけにもったいないというか、惜しいですね。もう少し、MAシステムのメリットに近かったらよかったです。
その他では「クラウドサーカス」「ブレイズ」「サスケ」など、あまり戦略的ではないネーミングがほとんどです。
一方、こうしたシステムやアプリには勘違いを誘発しかねない、紛らわしいネーミングも多くあります。
例えば「ウェルスナビ」。
近年の流行語であるウェル・ビーイング(健康な状態であること)のようにウェルは健康のイメージが強い言葉です。
ですので、ウェルスナビの響きからは「健康に導くナビゲーション」という意味合いを感じとる人が多いわけです。ところが、実際はウェルスは「wealth」であり、「富、財産」の意味になります。
同様に「メルカリ」は何かを「借りる」サービスではないし、「ぐるなび」はどこかをぐるぐる回るナビでもないわけです。
メルカリは成功したので結果オーライですが、ぐるなびは「食べログ」に負けてしまい、そこにネーミング力の差があったことは間違いないでしょう。
スタートアップは4文字から
近年のスタートアップ企業は、カタカナ4文字の社名、サービス名が多い傾向になっています。
例えば、意味性にも配慮したネーミングでは次のような例があります。
「ラクスル」
「マクアケ」
「ココナラ」
「カタセル」
「ノビテク」
「マナベル」など
かつては「アスクル」がありましたが、ここら辺がルーツかもしれません。
4文字は覚えやすく、3文字に比べれば商標登録もしやすい。サービスのメリットをそのまま表現することもできますし、造語のようになって個性を出すことにもつながります。
ということで、最初はここを目指すとよいと思います。
そして、拙著「ネーミングの極意」の読者様ならご存じですが、システムネーミングによって省力化する、ということも大切です。
とくに企業固有の接頭辞を開発できれば、相当な工数、コスト、時間を短縮することが可能です。
IT分野で考えてみましたが、理系の人材が多めなこともあり、言葉に対する期待よりも、技術にこだわる思考が優先なのかと思いました。
これが、食品分野やお菓子メーカーなどであれば、むしろフレーバーとネーミングがすべて! のような世界になってくるわけです。そのため、思わず笑ってしまうようなネーミングも多く見られるというのは間違いのないところでしょう。
製造業マーケティングコンサルタント、弓削 徹(ゆげ とおる)でした。
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