きょうは商品開発のアイデアを考えよう

きょうは商品開発のアイデアを考えよう

ものづくりはリスクを取ることであり、ユーザを想って知恵を絞ることです。

最初に少なくない投資も必要です。

 

ですから、取り組む資格のある会社とそうでない会社とには大きな違いがあります。

<例>ZOZOは、絶好調のなかでZOZOスーツをつくって失敗し、その後もプライベートブランドをつくってしまい、結局、身売りまで行きました。前澤社長は「商売」人であり、職人や技術者ではなかったのですね。

 

とくに、このアパレルはむずかしい。

では、うまいアパレル企業は何をつくっているのか。

<例>ある会社は、ユニクロで大ヒットしているコートに合わせて着られるミドルコート(コートの中に着るコート)をつくってヒット商品に育てました。センスのいいコバンザメ商法ですね。

 

スジの悪いアパレル企業なら、ユニクロと戦おうとするところです。

そういえば、ZOZOは[ZOZO HEAT]というユニクロ[ヒートテック]の二番煎じ商品をつくっていました。

 

■多くの会社が商品開発に失敗する理由

 

実績のあるものづくり企業も、すんなりと商品開発ができるわけではありません。

多くの会社が迷走しています。

はじめて自社商品をつくる、なんていう工場が開発してしまいがちなのが、基盤をカットしたケータイストラップのような、あってもいいけどなくていいようなもの。

あるいは、誰が使うのかイメージがわかないもの。

<例>少し前にご相談をいただいた会社さんは金属の丸パイプをレーザーカットし、ロウソク立てを商品化しようとしていたのでとめました。

 

でも、最初の自社開発商品はどうせ失敗しますので、なんでもつくってみて「こうすると失敗するのか」と学習するのもいいと思います。

●商品開発で避けるべきこと
・大きな市場をめざす
・成長市場をねらう
・マーケティング調査に従う
・低価格で勝負する

商品開発に慣れた社長さんなら(そりゃ、そうだよ)というような項目でしょう。

 

そして、結局の答えは「狭い領域に特化することで、発見されやすく受注しやすい商品をつくる」ところにたどり着くのです。

<例>デジカメ→コンパクトデジカメ→ミラーレス一眼→アクションカメラ
  →セミプロ用カメラ→水中カメラ/医療用カメラ
  →(あるいは)自転車搭載用カメラ、スマホカメラ用付属品
  →(または)防犯カメラ/証拠収集用カメラ……

 

とはいえ、外部の技術素人(たとえば、弓削)にそう言われても、素直には従えない。
そういうものですよね。

 

■マーケティング調査せずにテーマを見つける

 

でも、マーケティング調査をしないなら何に従うのか。

それが、できてしまった技術、自社に固有の財産です

次のような要素をストレッチ(足を伸ばして展開)して新製品を発想するのです。

●ストレッチする要素
・生産ライン
・技 術
・社員のノウハウ
・顧客層
・原材料
・ブランド
・廃棄物/副産物
・流通チャネル
・配送ルート

 

<例>カモ井加工紙では、長年つくっていたハエ取り紙(!)が売れなくなったので、技術や生産ラインをヨコへとストレッチしてマスキングテープを製造するようになり、経営が安定しました。

 

社内には、ヒット商品に化ける、枯れた技術が必ずあるものです。

それに、自社にしかないシーズを生かすから、自社らしいユニークな製品ができる。万人受けする製品、安心の横並びなんていらないのです。

社内の財産を生かしてつくるのは、次のような製品です。

・ターゲットがニッチ
・切実なニーズを満たす
・ちゃんと利益がとれる
・企業理念と合致する

 

上へ、ではなく、横か下へとストレッチするのがおすすめです。

<例>  ×ファストファッションがラグジュアリーブランド
   〇スターバックスがインスタントコーヒー

 

■技術がもっとも価値を持つ用途を考える

 

「とにかく多機能」のような製品には逃げないでください。

そして、最後はウリの見極めが必要になります。

<例>浅野撚糸は水に溶ける糸を開発しましたが、何に使えば商品価値につながるのかわかりませんでした。
協力工場で起きた材料間違いから、それがふわふわで吸水性にすぐれたタオルになることに気づきます。
(商品名は[エアーかおる]ですが、ネーミングもパッケージももっとよくすることができそうですね)

 

いまや、無関係だった医療機器へ参入する工場があったり、電気化によって自動車をつくりはじめる会社があったり、センサー技術を生かしてロボットメーカーになる会社もある時代。

業際の垣根が低くなっているいまは、ある意味、脅威ですし、ある意味、大チャンス。

ゼロベースからの、ものづくり、価値づくり。

きょうは考える時間がたっぷりあります。

 

 

製造業のマーケティングコンサルタント、弓削徹でした。

 

本コラムは、ものづくりの現場での気づきや日々の雑感、製造業のマーケティングや販路開拓に関するノウハウなどをお伝えするものです。 お気づきのことやご質問、ご要望などがありましたら、お気軽にメッセージをお寄せください。

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