展示会ツールのつくり方
展示会活用のセミナー後のご相談や、個別相談で必ず訊かれるのは、ブースに掲示するツールをどうつくったらよいか、です。
●展示会ツールは何をつくるか
ツールの代表は、なんといってもタペストリー(バナー、横断幕など。呼び方はともかく、大きい印刷物のこと)です。のぼり、ポスター、パネル、
そのサイズ感は、パネルなどとはまったく異なっており、メートル単位。オススメのサイズは
左右(横幅)1.5メートル〜2メートル 天地(高さ)1.8メートル くらいです。
▲上の例は幅が1.8メートル、高さが1.5メートルです。
単独出展しかしないのであれば左右は3メートルでもOK。
共同出展の機会が多ければ左右1メートルからつくるとよいでしょう。
のぼり、ポスター、パネル、POP、カタログなども、適宜つくります。
のぼりは、やや遠くからでも何を紹介しているブースかがわかる役割があります。
最近は、単に社名ロゴやワンフレーズだけでなく、ポスターやタペストリー並の訴求内容を印刷して使う事例が増えてきています。
左ののぼりは欧文ロゴだけですが、右は差別化店を伝えていますね。
一方、「展示会ならパネル」という考えも根強くあります。
しかし、A1やB1サイズていどのパネルですと、どうしても図やキャッチコピーが小さくなってしまいます。
小さければ、通りかかっただけの来場者に見てもらうことはできません。
では、パネルは不要かというと、そうではありません。
パネルは、ブースに立ち寄ってくれた訪問者に詳しい説明をするときの補助ツールとなってくれるのです。(下記の例のように)
POPは、店頭と同じですので、実機に貼付したりして、読んでもらうという使い方ですね。
●タペストリーのつくり方 〜キャッチコピー編
展示会のキモを一言で言えば「キャッチコピーが重要」です。
これは、出展慣れしている社長さんの多くと一致するところです。
問題は、どう表現すればよいかですね。大切な点を3つご紹介します。
(1)キャッチコピーは二段構えで考える
一つは(ウチの商品を選ぶ理由)、つまり差別化ポイントを伝える1行ですね。
これはよいのですが、その前に、
(コレは何に役立つ商品か)という定義(商品スーガンとも呼ぶ)を書いてください。
「おまんじゅう」のようにわかりやすいものを展示しているのならよいのです。
たとえば、同じ食品でも「へしこ」の展示ブース。
あなたは「へしこ」って知っていますか??
これは福井県などに伝わる、魚を漬け込んだ発酵食品で、とても美味。未体験の方は、ぜひオススメします。とくに、右の「かどの」さんのは、気が遠くなるほど美味しいです。
でも、この「へしこ」。食品スーパーのバイヤーさんですらピンとこない商材のため、次のような「何者か」のキャッチコピー(商品スローガン)が必要となります。
「サバをぬか漬けにした小浜の珍味」
(うん、でもウチの商材はわかりやすいから、だいじょうぶ)
と思いましたか?
たとえば、あなたの会社の商品が金属の切削加工サービスだとします。
「公差0.1ミクロンを実現。」
という精度を訴求するキャッチコピーと、加工見本をポンッと展示台に置きます。
すると、通りかかった来場者はそれを見ていろいろ考えてしまうのです。
Aさん(この部品の金型をつくる会社かな?……)
Bさん(鋳造加工してる会社だな……)
Cさん(金属の3Dプリンタ? じゃないか……)
Dさん(放電加工の工場かな?)
Eさん(新しい合金の展示かな?)
Fさん(こりゃ溶接だな。きれいにできてる)
Gさん(バリ取りサービスなら、うちには関係ない)
このように、“専門家”ではない来場者はあれこれ考えます。
出展をしているあなたには当たり前の商品内容も、きちんと定義してあげないと来場者は迷ってしまうのです。
新機軸の商品であればなおさらです。
ということで、キャッチコピーは差別化用と定義用の2種を用意してください。
(2)差別化点は来場者(=ターゲット)を意識して考える
たとえば、流通バイヤーに食品を売り込むなら消費者向けの「美味しさ」よりも
流通にとっての「保存しやすさ」や「レシピ提案」を伝えるなど。
「冷凍保存で、ぷるぷる食感が6ヵ月長持ち。」
あるいは、個人住宅向け地下ユニットを「プラスアルファの趣味スペースができる!」というエンドユーザ向けのメリットではなく、次のように書く。
「建坪はそのままで、建築単価が上がります。」
(3)機能、特長ではなくメリットを書く
いつも出している事例ですが、水質分析器の小型化に成功したので、次のように書いてしまう。
×「分析器がコンパクトになりました。」
ところが、ユーザーにとって小型化自体は魅力ではありません。
ここは、本質的な価値を書かなければならないのです。
・小型化→現地に持ち運んでのスピーディな分析が可能になる
つまり、キャッチコピーは次のようになります。
「現地に持ち込めるから、高速・高精度な分析が可能に!」
キャッチコピーの書き方については、弓削徹のウェブサイトの過去投稿をご参照いただいたり、拙著「キャッチコピーの極意」をお読みください。
長くなってしまいましたので、次回は「デザイン・レイアウト編」と「印刷・掲示編」をお届けいたします。
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→「キャッチコピーの極意」明日香出版社
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製造業のマーケティングコンサルタント、弓削 徹(ゆげ とおる)でした。
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