失敗しないブレストの実施法
あなたの会社ではブレスト、やっていますか?
本記事では、ブレストを成功させる方法、不慣れな人もうまくブレストに巻き込むための4つのルールと4つの極意をご紹介します。
会議に参加した人がその場でアイデアを出し合うブレーンストーミング、いわゆるブレストは、広告会社などでは日常のことです。
しかし、一般の製造業ではなじみのないことも多いと思います。アイデア会議、と考えていただいてもけっこうです。
おそらく、商品開発の際に実施しているのではないでしょうか。
まず、ブレストには守るべき4つのルールがありますので、ご紹介します。
ちなみに、参加人数は多くないほうがおすすめです。
●ブレスト 4つのルール
①他者の意見を否定しない……荒唐無稽なアイデア、実現不可能な企画であっても、言下に否定してはいけません。
②自由に発想する……ごくふつうの考えはいつでも出せます。いままでにない奇抜なアイデアこそを求めましょう。
③質より量を重視する……発想法は、「量が質を生む」という立場です。どんなアイデアもとにかく発表してください。
④アイデアを発展させる……誰かのアイデアを否定するのではなく、それをヒントにして改善・発展できないかと考えます。
ブレストのむずかしさは、参加者が「この場でアイデアを出せと言われても出ない」「こんなアイデアを口にしたらバカにされるのではないか」と考えてしまうことです。
そこで、ブレスト慣れするまでに試してほしい方法を次にご紹介します。
私が支援先企業でブレストを指導するときに実践しているやり方です。
●ブレスト 4つの極意
1 発言を人のせいにする
アイデアが出ない、バカな意見は言いたくない、というネガティブを打ち消すテクニックです。
まず、ブレストのテーマにかかわりがありそうな雑誌を各自2、3冊ずつ会議室に持ち込みます。
そして、雑誌をパラパラめくりながら見出しやタイトルを眺め、「このキーワードはいいのでは?」と思ったら「○○○○なんて書いてありますね」と短く発言するだけでいいのです。
それを受けてほかの人が「最近、それは人気だよね」、「○○に変えるならありかも」などと広げてくれれば議論が進みます。
キーワードの出所は自分ではなく、たまたま持ってきた雑誌。
たとえ的外れでスルーされたとしても、自分のせいではないのです。
2 声に出さずに発言する
社会人1年生のなかには、会議の席で発言することが苦手だという人もいるでしょう。
私もそれに近い人間でしたのでよく理解できます。
発言が苦痛なら、付せんやカードなどの紙にフレーズを書き込めばいいのです。
それを箱や袋に入れて集めたり、まとめ役の人に手渡しします。
数がまとまったところで読み上げてもらったり、ホワイトボードに貼り出して分類してもらうのです。
このやり方の特徴であり、面白いのは、出されたアイデアが誰のものかわからないところ。
誰のアイデアかわからないなら遠慮はいりませんので、「質より量」のアイデアが多く集まることにもつながります。
発言内容は記録をとっていく必要がありますが、すでに紙に書かれていますので、その手間がいらないのも便利です。
3 場所を変えて開催する
会議の場所を社員食堂や近所のカフェ、貸し会議室、あるいは公園などの屋外にしてみる方法です。
昔から、発想が生まれるのは、馬に乗ったとき、トイレに入ったとき、家で寝るとき、という教えがあります。
景色が変わることで目先が変わり、いつもと違うアイデアが出てくることもあるわけですね。
ブレストが行き詰ってしまった際など、途中で別の会議室にぞろぞろと歩いて移ったりすることもよい影響があります。
昔のコンサルタントは「現場を見てこい!」などと強権を発動したりしたようですが、若手の人が現場に出向いてその場の空気を吸ったり、自分がお客になってみることも有効です。
ブレストを前に、商品開発の担当者がスーパーマーケットやホームセンターなどの流通現場を見ることはいい勉強になると思います。
売場の方の話を聞けば、裏づけを持って発言できるようなアイデアを思いつくかもしれません。
4 宿題形式にする
私が企画することを習った(盗んだ)師匠の口ぐせは「企画とは孤独な作業である」でした。
つまり、「1人で考えたほうが完成度の高いアイデアが出る」ということです。
たしかに、いろいろな人の出した意見を足し合わせていき、八方が丸くおさまるような企画案にまとめたところで、結果として面白いものはできそうもありません。
それなら、あらかじめ課題を各人に周知しておいて、個々に考えたアイデアを持ち寄る発表会のようにしてもいいわけです。
発表されたアイデアを聞いた参加者が、改善・発展させるアイデアを出すのはその場でおこないます。
実は、私が最も好むのはこのスタイルです。
アイデアの数をたくさん出すことができますし、ブレストではまたそれが増幅するのですから、2度おいしいのです。
こうしたブレスト体験は、支援先企業のマーケティング担当グループに新人が配属されてきたときなどにしてもらうことがあります。
「企画ができる」人材と、そうではない人材とは大きく価値が異なります。
しかし、企画やアイデアを出すことは特殊技能ではなく、慣れが大きくモノを言います。
あなたの会社でも、新人くんを交えて試してみてはいかがでしょうか。
製造業のマーケティングコンサルタント、弓削 徹(ゆげ とおる)でした。
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