プレスリリースが掲載されるコツ1
日常的にプレスリリース原稿を書いています。
すぐに劇的な効果が現れる、とは言いませんが、広告以上の効果がありながらコストはかかりませんので発信しない手はありません。
本記事では、プレスリリースの書き方、送り方のテクニックについてまとめたいと思います。
いまやプレスリリースの効果は、広く知られるところとなりました。
その効果は、掲載媒体数、広告費換算、意識調査などで評価・測定されますが、とくに広告費換算では掲載・紹介された媒体の広告掲載料の3〜5倍で積算されます。
いま有力なブランドとなっているものは、純広告ではなくプレスリリース発信からの取材、パブリシティ活動によってその地位を獲得したところが目立ちます。
アップルも、スターバックスも、シャネルも、ユニクロもそうですね。
もちろんプレスリリースだけでなく、商品力が素晴らしいことも必要ですが。
かつては、アイデアひとつでマスコミ露出作戦を展開しているツワモノもけっこうありました。
たとえば、元気なころの百貨店は、買う人がいようがいまいが「10億円のダイヤをちりばめたティアラを販売します」と発表してみたり、「100万円の福袋を販売します」などとぶち上げて新聞やテレビに取材されて露出していました。
また、きれいな脚やバストが自慢の女優やモデルが、身体の一部に数億円の保険をかけるというと、大きなニュースになったりしました。
この場合のコストは保険料ではなく広告費ですね。
実際、数億円の保険といっても掛け金は数万円程度であり、露出が終わったらすぐに解約しているかもしれないのです。
あるいは、ナントカ協会が実施するのが、あるテーマでアンケートをとり、その結果にタイトルをつけてリリースするという手法。
「なんと、〇〇な人は84%!」のようなあおりで新聞に掲載されたりします。
マーケティング調査会社が取り組むならピッタリとハマるテーマですね。
アンケートをとるだけでいいのですから、これもアイデアしだいです。
その視点で見ると、「新語・流行語大賞」や「今年の漢字」、トリンプの「今年のブラ」なども、結局はプレスリリース始点のイベントだと気づかされます。
中小企業でも、仮に100万円の広告予算があるなら、販路開拓したい3万円の商品を「10円で販売します(ただし限定30個)」と発表すればよいのです。
(「創立30周年なので!」と理由づけするのもありですね)
一般紙誌で記事掲載となれば、すぐに100万円どころではない宣伝効果が生まれるでしょう。
その一方で、「新製品が発売になります!」だけでは取り上げてもらえないのが不有名企業の現実です。
基本的に、記事や番組で紹介される要素には、次の5つがよく言われます。
プレスリリースが取り上げられる5項目
1 新規性 いままでになかったこと
2 公共性 幅広く生活に役立つ、得になること
3 地域性 その地域独自のニュース、イベント
4 お笑い 笑える、心温まる話題など
5 社会性 環境、少子化、高齢化など
日本初、世界No.1など、独自性、オンリーワンの情報はニュース性があるので有利になります。
また、社会生活の役に立つ、公共性の高い切り口も大事です。
もちろん、こんな当たり前のテーマ探しではないノウハウを次回以降、書きます。
ただ前提としては、マスコミ各社も「なにかよいネタはないか」と探しているわけですから、記者さんのアタマになって発想することをオススメします。
セミナーでこう言うと、「ちゃんと媒体の人の気持ちになって書いています」と答えてくれるのですが、では媒体の人や記者さんが考えているのはどんなことなのでしょうか。
媒体のなかの人が考えていること
1 読者・視聴者にウケたい
シンプルにいえば、読者・視聴者にウケるネタ、情報が欲しいのです。
最大の関心事は「これを掲載・紹介したら、ウチの読者(視聴者)は喜んでくれるかな」ということなのです。
ですので、狙った媒体の記者さんの、その向こうにいる読者・視聴者の顔を思い浮かべ、どんな切り口の情報に仕上げればウケるのか、を考えるべきだということになります。
2 特オチはさけたい
特ダネは、もちろん欲しいのです。でも、より切実な希望を言えば、絶対に特オチはさけたいのです。ですので、彼らは他媒体が取り上げるトレンドに敏感です。
そこで、そのときどきに訪れる流行の波に、うまく商品情報をはめ込むカタチでリリースを構成して送るのです。
そうすれば、流行の波を紹介する際に、「これもそう」「こういうカタチでの影響もあるようです」とコンテンツをふくらませる足しに取り上げてくれる可能性も出てくるわけです。
3 記事を書き貯めておきたい
マスコミも会社組織ですから、人手が足りなくなる時期は周期的にやってきます。
たとえば、年末・年始、人事異動の3、4月、夏季休暇の季節など、人がいなくて困るであろう時期を前に、記事を書き溜めておかなくてはならないと彼らは考えます。
つまり、年末の前、人事異動の前、お盆前には、プレスリリースの採用率がグンと高まるのです。
この時期を逃す手はありませんね。
小手先の感もありますが、これが現場の記者さんたちが考えていること、都合なのです。
プレスリリースのテーマをどう考えるべきか、どんなスタイルにするべきか、そしてそのプレスリリースをどこへ送ればいいのかに関しては、次回以降に書きますので、ぜひチェックしてみてください。
製造業のマーケティングコンサルタント、弓削 徹(ゆげ とおる)でした。
●朝日新聞 2019年9月28日掲載
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