ウェブ活用・他山の石
クックパッドの2019年度の収益が9億6800万円の赤字になったそうです。
本記事では、IT企業の失敗を他山の石として、ものづくり企業のプロモーションについて考察します。
さて、クックパッドです。
前年の2018年度は4億700万円の黒字でしたので、急速に悪化してしまったことがわかります。
それよりなにより、ユーザーに料理レシピを投稿してもらい、それを掲載して見てもらうだけのビジネスモデル(コンシューマ・ジェネレイテッド・メディア)であるのに大赤字だということに驚きます。
しかも、一時はウェディングや育児などのビジネスにも展開していたものを、料理文化にフォーカスしてきたところだったのです。
おそらく、グーグル並みの浪費をしていたのではないでしょうか。
すなわちグーグルのオフィスは広く楽しく、食事も飲料もお菓子も無料で食べ飲み放題。
そこまでではないとしても、余裕のビジネスモデルにあぐらをかき、社員を甘やかして、価値を集積する努力を怠ったのではないでしょうか。
いま、「ふつうの企業」ではリモート勤務が進行していますが、コロナ禍となる前までリモート業務を推奨していた米Yahoo!や米IBMは業務が停滞してイノベーションが枯渇。
結果として、いまはオフィスの居心地をよくすることに心を砕いています。
そのお手本は、グーグル(!)。
日本でも、同じ揺り戻しが遅れてやってくることでしょう。
話は戻って、クックパッド。
2016年と比較すると1千万のユーザーが減少したそうです。
ユーザーはデリッシュキッチンやクラシルに流れたということなのでしょう。
では彼我の差はいったいどこにあるのでしょうか。
1 動画主体であること
クックパッドは基本的に文字レシピ主体。
クックパッドも、レシピ動画を制作する子会社を稼働させていたところでしたが、間に合いませんでした。
2 検索結果からの流入が中心のクックパッドと、SNSと連携するデリッシュキッチン
3 アマチュアの衆知を集めるクックパッドと、プロの一発レシピを見せるデリッシュキッチン
クックパッドでは、無料会員はベストレシピの検索はできないのですが、レシピの数自体は膨大です。というか、膨大すぎてスマホでサッと見るうえでは無意味なのです。
日本人は、そもそもお仕着せが好きですからね。
主なところでは以上のような違いです。
ということで、動画とSNSとの親和性を高めたサービスが勝ちをおさめたわけです。
(ただし、ライバル2社のほうもスタートアップゆえおそらく赤字)
動画とSNSという組み合わせと流れによる顧客の誘引は強力ですね。
じつは、書籍の著者にも同じことが求められています。
ツイッターをうまく使いこなせなければよい本も売れない広まらない、と指摘されているのです。
知り合いの著者のなかには“YouTuber”をはじめた人もけっこういます。
(私も「展示会活用チャンネル」をはじめつつあります)
では、中小製造業がこの枠組みを活用し、生かすとしたら、どのような取り組みが可能なのでしょうか。
「展示会活用のセミナーをお願いします」と依頼されながら、「ウェブを活用する方法についてもお話しいただけますか?」と付け加えられることも少なくありません。
ここは、思考し、試行していかなければなりません。
たとえば、ツイッターやインスタグラム、Facebookページと企業サイトを連携させる有機的な流れをつくりだす……。
どこかで見込み客と接点をもち、それを企業サイトへと誘えればいいわけですが、ニッチなニーズに絞り込んだ中小製造業が、出会い頭のSNSを効果的に運用することはむずかしいともいえます。
現状では、オーガニックな検索結果からの流入をメインとしながらも、サブ的な対策としてSNSにも気を配っていくということでしょうか。
私も、Twitterに注力し、E-A-T的な背景をこしらえることを企図していますので、また、その結果については本コラムでご報告します。
その他も、本コラムではウェブ活用についてノウハウを書いていますので、ぜひお読みいただければと思います。
製造業のマーケティングコンサルタント、弓削 徹(ゆげ とおる)でした。
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