やつらにテキストを打たせると…
サッポロビールでは、缶面デザインのLAGERのスペルを、LAGARと誤記したため発売中止にするとしていた缶ビールを、やはり発売するとの発表がありました。
その商品とは、ファミリーマートと共同開発した「開拓使麦酒仕立て」。
LAGER(正)はドイツ語で、貯蔵工程で熟成させたビールを下面発酵で醸造したものをラガーと呼びます。
ちなみに上面発酵で醸造されたビールはエールと呼びます。
缶に印刷されたLAGAR(誤)のほうは、ワインの桶やワイナリーという意味になるスペイン語だそうです。
サッポロビールは、食品表示法違反になることをおそれ、発売中止を発表していましたが、財務省(酒税に関わるため)や消費者庁に確認をとったところ問題がないことがわかり、一転、発売となりました。
缶デザインの下部には、ビールならビール、第3のビールならリキュール類と明記されていますからね(お酒は飲まないから知らんけど)。
かつて、スーパードライを発売する前で絶不調だった頃のアサヒビールでも似たようなことがありました。
ビールの缶デザインが、ジュースなどの清涼飲料水っぽく見えるという理由で発売中止になったのです。
いま、その缶デザインを画像検索してみたのですが出てきませんでした。
けれど、代わりに出てきたIKEAが発売しているクラフトビールも、誰かが告発すればアウトになりそうなデザインですね。
先の事例があった当時、アサヒビールはビール4社の中では最下位。
いまのサッポロビールと同じ状況でした。
大切なパッケージで誤植というミスを犯してしまう緊張感のなさは、まさに会社のムードを表しています。
原因を想像すると…
炎上が怖くて、一度は廃棄を決定したのですが、「もったいない」「これも廃棄ロス」ということで命びろい。
結果として、逆に製品名が何度も報道される、いわゆる炎上商法になっています。
フライヤーのテキストならまだしも、おカネのかかるパッケージですから、廃棄になっていたら深刻でした。
メーカーの背負わなければならないリスクがここにもありますね。
なぜ、このようなことになったかといえば、担当者も成分表示や容量・度数表記には気を配るものの、デザイン要素のひとつであるLAGERには目がいかなかったということです。
そして、そもそもなぜ誤記がなされたかといえば、パッケージデザイナーが文字入力したからです。
ライターなら誤植は少ないのですが、デザイナーは高確率で誤植をします。
私もコピーライター時代は、3単語以上は必ずテキストを入力して渡していました。
でないと、↓こんな感じになります。
製造業のマーケティングコンサルタント、弓削 徹(ゆげ とおる)でした。
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