キャッチコピーで何を訴求するか

キャッチコピーで何を訴求するか

キャッチコピーには何を書けばいいのか。

これは素朴な疑問のようでありながら、キャッチコピーのセミナーご参加者さんからよく聞かれるつぶやきなのですね。

そこで本記事では、キャッチコピーに書くことを、進化論的(?)に順を追って説明したいと思います。

 

訴求テーマのステップ

1■目についたキーワードを書く
2■機能・特長を伝える
3■メリット・便利さを書く
4■差別化ポイントを書く
5■潜在ニーズを掘り起こす
6■ターゲットを明示する
7■使用シーンを提案する
8■入口のステップを訴求する

 


 

キャッチコピーを書き慣れない人に、「あなたが売ろうとしている商品のキャッチコピーを書いてください。」と伝えると、どんなキャッチコピーを書くと思いますか?

まず、第一歩は、その商品や商品周辺のキーワードを拾いあげて、(これでダジャレにしたらいいのでは?)、(何か言葉遊びができないかな)、(カッコいい表現にしたいなぁ)と、ぐるぐると考えるのです。

 

1■目についたキーワードを書く

そうしてでき上がったキャッチコピーは、どんなものか。

ご推察の通り、キャッチコピーらしく着地はしているものの、差別性に乏しい失敗キャッチコピーになります。

おそらく、競合商品に使っても成立してしまうような表現でしょう。

例「日本には、日本に合ったセキュリティがある。」

「これを使えば誰でもキャッチコピーが書ける」というようなヒナ形にのみ従って書くと、こうなってしまいます。

 

2■機能・特長を書く

そこを卒業すると、次に書くのは機能や特長です。

たとえば、次のような1行ですね。

例「最大出力80W以下のアームロボット、新登場」

80Wをイチ押しされても、ユーザーは「へぇ?」となるだけ。

低出力の作業ロボットなら工場内で安全柵を設けなくてもよいことを知らなければピンとこないのです。

そして、ユーザー側はこちらが考えるほど専門知識を持っているわけではありません。

ここで書くべきは、次のようなキャッチコピーとなります。

 

3■メリット・便利さを伝える

例「高性能なのに安全柵のいらない低出力ロボット、新登場」

つまり、「機能・性能・特長・仕様」ではなく、
お客様にとっての「メリット・便利さ・美味しさ」を書かなければならないのです。

さらに、単純にメリットを伝えただけだと競合商品と差別化ができない場合があります。

そのため、いつも弓削が申している通り、「うちの商品でしか言えないウリ」を書かなければなりません

 

 

4■差別化ポイントを書く

それは、ライバルに差をつける次のようなキャッチコピーです。

例「〇〇なのは当社だけ」

 「当社特許の〇〇が喜ばれています」

次に、本来は重要なことなのに、ユーザー層がそこにまだ気付いていないこともありえます。

顕在化していないニーズに訴えなければならないケースです。

 

5■潜在ニーズを掘り起こす

そうしたときは、まずは眠っているニーズを掘り起こさなければなりません。

例「〜こんなことで困っていませんか?」

 「電動自転車の充電がすぐ切れる? バッテリーはすぐ交換できます!」

 「じつは〇〇の原因は△△が9割」

同時に、ターゲットを明示することも効果があります。

 

6■ターゲットを明示する

潜在ターゲットが、自分向けの商品であることに気づきづらい場合はきちんと名指ししてあげなければなりません。

例「〇〇な人から選ばれています」

 「〇〇工場専門です」

 

7■使用シーンを提案する

商品を使用することが一般的ではない場合、またはそのメリットがイメージしにくい場合などは、具体的な使用シーンでどんな風にメリットが生まれるかを提案してあげると効果的です。

新規性の強い商品や、単なる機械とは異なる便益が生じる商品であれば、とくに有効となります。

例「食洗機があれば、食後もそろって団らん」

 「焼きナスにポン酢をかけたら旨かった!」

 

8■入口のステップを訴求する

あるいは、あなたの商品が高価格帯の商品であったり、信頼のおけるところから買いたいと顧客が考える性質のもの(たとえば住宅建築など)の場合、フロント商品を売り込むことからはじめたほうが結局は話が速いこともあります。

たとえば工務店が次のような訴求をするのです。

例「住宅の完成見学会ご参加者募集中!」

 「親子で楽しむ木工教室、やってます <参加費500円>」

500円の材料費はとるのですが、これで儲けようというわけではなく、いわばフロント商品なのですね。

夏休みの自由研究で悩んでいるお客様のほうも、おカネをとるのならヘンな売り込みもないだろうと堂々とやって来てくれます。

そうすると、木工の工作やDIYの親切な指導をしつつ、「この組み木の技術は、住宅建築の柱継ぎにも使ってるんですよ、この家で苦労したところは…」と自然に売り込むことにつながるのです。

 

キャッチコピーで訴求するテーマ、の旅。いかがだったでしょうか。

キャッチコピーの訴求ポイントは、あなたのスキルによっても段階がありますが、お客様の態度や競合商品との兼ね合いでも変わるのですね。

いま、伝えているあなたが書いたキャッチコピーは、どの段階のものでしょうか。

一度、確認してみてください。

 

 

製造業のマーケティングコンサルタント、弓削 徹(ゆげ とおる)でした。

 

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本コラムは、ものづくりの現場での気づきや日々の雑感、製造業のマーケティングや販路開拓に関するノウハウなどをお伝えするものです。 お気づきのことやご質問、ご要望などがありましたら、お気軽にメッセージをお寄せください。

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