マーケティングオートメーションは使えるか?
展示会が開催されず、訪問しての営業もできないことから、マーケティング・オートメーションが注目されています。
本記事では、マーケティング・オートメーションの導入について、考察してみたいと思います。
さて、マーケティング・オートメーションとは、見込み客を集めるためのITシステムです。
主にリスト収集やそのフォローを自動化することで、効率的に販路開拓ができるというものです。
米国では導入が進んでいますが、日本はまだこれからという状況。
ただ、「ちょっと前のCRMとどう違うの? 」と質問されてしまうと、ベンダーの方は「まったく違います」と答えはするものの、けっこう似たようなものなんですね。
※CRM=カスタマー・リレーションシップ・マネジメント
名称、呼び方は、時代によって変化します、たとえ中身は同じでも。
たとえば、かつて「OA(オフィス・オートメーション)」と呼ばれていたものが、「IT」から「ICT」と変化しています。
・IT企業 → テック企業
・Gパン → ジーンズ → デニム
・つなぎ → オーバーオール → サロペット
・乳母車 → ベビーカー → バギー
もう、いいですね。失礼しました。
基本的な役割は、展示会やウェブからの問い合わせで得られたリード(引き合い)を自動的にリスト化し、相手の興味対象や閲覧したページに応じた内容のメールをステップで送ったりします。
名刺やアドレスをクッキーで紐付けし(まぁ、訪れた人が誰だかわかるようにして)、どのページを見ていたのかなどを明らかにし、特化メールを送ったり、どのような提案をしたらサクッと受注するかをシステムに教えてもらうのです。
話だけを聞くと、とても便利そうなのですが、正直なところ、あまり小企業には向いていないと考えています。
その理由は次のようなことです。
1 コストが高い
2 スケールとしては中堅企業以上に向く
3 要件定義や目標設定などがめんどう
4 まだ発展途中であること
まず、価格です。
市場には、主なところだけでも20種近くのシステム商品があります。
いちばん満足度のスコアが高いとされているのが、米セールスフォース社の[Pardot]で、これは月額が15万円、30万円、48万円となっています。
また、SATORIというシステムは、初期費用が30万円で、月額が14.8万円です。
導入はしてみたけれど、うまく機能しなかった、ウチの業務には向いていなかった、となるとちょっと問題ですね。
次に、企業スケールについて。
そもそも月間に入手できるリード数が、手作業で追いかけることが可能なボリュームであるのなら、人間の知見で追いかけたほうが成約率は圧倒的に高いでしょう。
費用対効果から見ても、月間に、たとえば300件以上のリードが生まれるのでシステム化したい、というような中堅企業以上のニーズに適したシステムではないでしょうか。
システムの要件定義に関しては、もっとシビアです。
自社の営業パターンやカスタマージャーニーの分析ができており、マーケティング計画も立てられ、その上でシステムの要件定義を明確化でき、目標設定とそのリアル営業へ引き継ぐことができる担当者がいるのか? ということです。
自社のことは自社で考えるしかありませんから、システムベンターの人がコンサルティングをしてくれると言っても、頼り切ることはできないでしょう。
そして、最後は発展途上というところ。
じつはこういう業務はAIがいちばんチカラを発揮できるところだと思います。
しかし、AIはまだ発展段階であり、使用しようにも高額です。
各社のシステムで、どれほどAI的な要素が植えつけられているのかわかりませんが、本格的なAIが投入されれば、デジタル営業の活用効果は劇的に向上するでしょう。
正直なところ、弓削の支援先企業では、「マーケティング・オートメーションってどうです? どこか導入しているところはありますか?」というような話題は出るものの、実際に導入しているところは1社もありません。
私も、可能性は感じているものの、積極的に導入を勧奨する気持ちにはなりません。
では、どうしたらよいかということなのですが、じつは無料で導入できるマーケティング・オートメーションのシステムがある(!)のですね。
導入だけでなく、使い続けても無料です。
追加機能は課金制となる、いわばスマホゲームのようなフリーミアムです。
無料ならリスクは低いので、どのようなものか試してみてもいいですよね。
ただし、導入に際しての手間ヒマもコストですからね、完全無料とはいえませんよ。
ただ、こうしたマーケティング・オートメーションというシステムが自社に向いているのか、そうではないのか、どこかが改善されれば導入可なのか、あるいは、あの会社のシステムならよさそうなのか、といった予行演習体験ができますので、ムダにはならないと思います。
→無料マーケティング・オートメーションツールBowNow(バウナウ)
導入してみた方は、使用感想を教えてくださるとうれしいです。
製造業のマーケティングコンサルタント、弓削 徹(ゆげ とおる)でした。
ものづくりコラムcolumn
- 2024/10/16
- ネーミングのチカラで選ばれる
- 2024/10/11
- リスティング広告のキャッチコピーはこう書く
- 2024/09/10
- 作曲AIの実力とは??
- 2024/09/09
- 展示会セミナー復調!!
- 2024/08/25
- 新進? 変化球の生成AI