商品のウリを見つける方法
自社商品のウリを特定して、キーワードにし、キャッチコピーを書きましょう。
などと、いつも言っているのですが、ストレートにではなく、ズラす手法もワザあり有効ですので、本記事にて申し上げます。
そもそもウリとは、時代背景やニーズの変転に応じて変わり、磨いていかなければならないものです。
事例1
ホットケーキミックスが1957年に発売されたときのウリは、「あのホットケーキが家でつくれる」でした。
それが「インスタントで手軽にパンケーキ」と変化し、いまは何かというと、「親子で一緒にクッキングを楽しめる」となっています。
事例2
あるいは、カップヌードル。
当初は、「3分間待てばラーメン」でしたが、浅間山荘事件で見出されたように「アウトドアでもアツアツ」となり、のちには「ランチにもどうぞ」、「ガンダムパッケージ!」など、いろいろです。
事例3
こうした長大な時間軸でなくても、ブリーズライト(鼻に貼ると気道が広がるシール)は、発売当初は「いびき防止」であったものが、「つらい花粉症対策に」と変わり、最近では「スポーツのパフォーマンスアップに」となっています。
もともとの市場が枯れはじめたとき、ウリをズラすことでちゃっかり生き残る、いいえそればかりか移動先の市場を荒らす、いえいえ、席巻するというケースも少なくありません。
事例4
平凡な食材であったコンニャクが、その低カロリーを生かしてダイエット食品を発売したときは、市場がひっくり返ってしまいました。
専業メーカーは、「食物繊維を1グラム増やしました」などという微妙な争いをしていたのですから。
事例5
地方で清涼飲料水のラムネを製造・販売していたあるメーカーは、本来の爽快な味やノド越しではなく、「懐かしさ」を訴求するレトロなデザインのラベルに変えて成功しました。
事例6
いま観光業はたいへんな状況ですが、以前にも老舗温泉旅館の廃業が相次ぐという頃がありました。
ある北陸の温泉旅館は、美味しいカニの食べ放題ツアーを募っても、予約が入らない。
そこで、ズラしたのが「カニの食べ方教えますツアー」。
旅の中身は同じでも、タイトルを変えただけで、これが満員になるのですね。
あなたの商品でうまくズラせない、他社の商品と差別化ができない、というときも発想の角度しだいです。
事例7
米国のさるビールメーカーは、シェアも低いし、これといって商品に特筆できるポイントがない。
そこでコピーライターが工場見学をして発見したのが、日に3度も生産ラインを止めて部品の洗浄をしているというところでした。
この取り組みをテーマにキャッチコピーを書きたいと提案したのですが、メーカー側は「そのていどのことは他社もやっているから」と賛成しない。
しかし、粘るコピーライターに根負けして、その趣旨のキャンペーンを打ってみると、これがたいへんな反響を呼びます。
お客様は、「そんなに清潔に気を配っている工場でつくられるビールが美味しくないはずがない」と売り上げが伸びたのです。
事例8
あるいは、ある水産加工業者さん。
干物のキャッチコピーを書くときに、何をウリにしたらいいかわからない。
コンサルティングを受けてみると、「塩汁(しょしる)を言うべきでは?」とコンサルタントが言います。
しかし、「干物屋さんならどこも工夫しているものだから、ウチだけ言うのはヘン」と抵抗します。
コンサルタントが、「それでも塩汁にこだわっているのでしょう?」と訊くと、「それはそうですよ、これで味が決まっちゃうんだから……」と答える。
「だったら塩汁でしょう!?」ということで、ウェブサイトもカタログも、「塩汁が違うから、ウチの干物はうまい」という主旨のキャッチコピー、メッセージを書くようになりました。
これが、全国的な干物の通販に同社が成功するきっかけになっていくのです。
事例9
製造業に限りません。
もっと差別化がむずかしいサービス業でも可能だという事例を聞くと、より参考になると思います。
ネズミ駆除業者は価格もサービス内容も横並びで、あとは「ウチから近い」など場所くらいしかないといいます。
そこで、ある業者が成功したのは、それこそどこの業者でもやっているあることを明文化、つまりキャッチコピーに書いたことでした。
それは、ウェブでも電話でも、「見積もりをとったら、それで価格が確定する」という受注の仕方。
これを打ち出したところ、依頼の件数が増えたのです。
その他、価格が高いなら、価格より品質を気にする顧客層と付き合えばいいのですし、知名度がないなら幻の名品を強調するやり方もあるでしょう。
古いものであっても、安心の定番、伝統やレトロを訴求する。
日持ちがしないのなら、逆に鮮度にこだわっている、保蔵料、防腐剤は使用していません、と伝える方法があります。
手間がかかる商品なら、そのひと手間が玄人・本格派好み、マニアに受けるように表現すればいいのです。
どの会社の商品も、決定的な差別化があるなら、それをキーワード化、キャッチコピー化するまでのこと。
そうでない場合でも、ウリをうまくズラしたり、先に言ったもん勝ちのポイントを見つけたりすることが有効です。
それが、まさにマーケティングという道具を上手に使っているということなのです。
製造業のマーケティングコンサルタント、弓削 徹(ゆげ とおる)でした。
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