ランディングページ制作の全作法

ランディングページ制作の全作法

ランディングページとは何のことか、まずは用語確認からいきましょう。

ランディングページとは、問い合わせを増やしたり、成約へと導くための集客特化サイトです

ものづくり企業が、自社のオリジナル商品を販売するなら、制作を検討する価値のあるスタイルといえるでしょう。

 

この「ランディング」とは着地のことで、リスティング広告やバナー広告などをクリックした先に表示されるページというイメージです。「LP」などと略称で呼ばれることもあります。

外観の特徴としては、縦に長いページになっており、スクロールして見ていくデザイン。
1ページ、または1枚もののサイトであるため、「ペライチ」と呼ばれることもあります。
途中から、お問い合わせや資料請求、注文のボタンがレイアウトされています。

数ページ以上からなる通常のサイトに比べると、ボタンがクリックされる確率は高まります。
一般に、訪問者がページを遷移するたびにクリック率は下がっていくからです。

また、あまりにも縦に長いサイトはインチキ臭くなっていきますが、調査データによると、短いページよりも成約率は高くなるという結果が出ています。

 

■ランディングページで何ができる?

ランディングページは商品を販売するのに最適なウェブ形態であることは事実です。

ただ、ランディングページを制作したらアクセスを呼び込まなければなりませんので、リスティング広告(PPC)やSNS広告、メルマガ、プレスリリース記載のリンク、あるいは企業サイトトップページのバナーリンクなどを利用します。

とくに、自社の新商品がどれくらい販売力を持つものなのか、キャッチコピーなどの表現はこれでよいのか、をテストしたい場合は、ランディングページとリスティング広告の組み合わせが有効です

ランディングページをつくったあとにリスティング広告を5,000円〜10,000円ていど出稿し、一定数の訪問者が注文をしてくれるかを「小さく調べる」のです。

それで反応がよければ全面的にプロモーションを推進していけますし、残念な結果であればキャッチコピーを見直して再挑戦をしたり、新商品そのものを考え直すこともできます。
(「反応がよい」とは、得られた結果を倍数にしたとき適正な利幅がとれる、ということです。)

A/Bテストやスプリットテストともいわれる手法ですが、潤沢な経費をかけられない中小企業は、こうした少額広告でテストを重ねてベストな場所を見つけることをオススメします。

 

■ランディングページの構成はどうする?

ランディングページの構成・展開には、先人考案のフォーマットがあります

後段にご紹介するフォーマットに、あなたの商品を当てはめて要素を出していけばいいのです。

ただ、流れはマネをすることができても、表現内容そのものは自社商品に置き換えて考えなければなりません

その企画にあたっては、ユーザーの視点になりきって考える必要があります

・見込み客は何に困っていて、どんな提案、メリットに魅力を感じるのか

・なぜ、この会社に引き合い、発注したほうがよいのか

よく、セミナーでも申し上げているのですが、
「商品のつくり手が言いたいことと、見込み客が聞きたいことはズレている」
ことがほとんどです。

見込み客が欲しがるメリットをきちんと提示することが、成約に結びつきます。

 

ランディングページのフォーマット

まず、冒頭にフックとなるキャッチコピーが必要です。そして、課題を共有し、共感を得る。
さらに商品の紹介と効果・メリットを提示、差別化ポイントを明解にしつつ、お客様の声を掲載する、などが要素となります。

以下に、多くの商品に当てはまる流れのフォーマットを掲げます。

 

< 1 > ランディングページのフォーマット

1・ターゲットに呼びかけるキャッチコピー/リード文

2・課題悩みを提起する(A社も困っていました)

3・解決策、商品の提示

4・実績、効果の証明(実証データ、他の方法ではダメな理由)

5・お客様の声、権威からの推奨(グッドデザイン賞、商工会議所からの表彰)

6・限定特典のオファー(オプション無料、モニター募集)

7・行動しない場合の不利益(オファーの期限、解決しない場合の問題拡大)

8・注文、申込みの説明

9・Q&A

 

こうした流れに自社商品を当てはめ、要素を引いたり足したりして構築していきます。

その他、先人の知恵としてのフォーマットには次のようなものもあります。

 

< 2 > PASONAの法則

P : Problem    問題の提起

A : Agitation   危機感をあおる

So : Solution    解決策の提示

N : Narrow down 絞り込み・限定

A : Action      行動を呼びかける

 

< 3 > QUESTの法則

Q : Qualify    対象者の絞り込み

U : Understand    悩みへの共感

E : Educate    解決策への共感

S : Stimulate   ニーズの刺激

T : Transition   意識の変化

 

基本的に、構成を考えるときの参考は「プレゼンテーション」です。

相手に、商品とそのメリットをおもしろく、わかりやすく、エビデンスもあげつつ、理解してもらう。
ほかの例で言えば、テレビの通販番組や実演販売です。
いまなら、教育系のYouTuber番組も参考になりますね。

 


※ランディングページは弓削のこんな手描きラフからスタートします
サムネイルやワイヤーフレームなどと呼ばれるものですね

 

■ランディングページ制作の留意点

ランディングページのルーツは、アメリカのダイレクトメール通販だと思います。
いわゆる、セールスレターですね。

ここには、手紙ひとつで全米から大量の注文をとったマーケティング巧者の工夫と汗の跡を見ることができます

ウェブ上で、これを再現しているのがまさにランディングページです。

「レター」というルーツを見てもわかるように、そこには1対1のコミュニケーションがあります。

課題を抱えている担当者に対し、役立つアドバイスをマンツーマンで語りかける。

そんなイメージを持っていただければ、有効なサイトをつくることができるのではないでしょうか。

そして、ランディングページのための知見は、じつは通販ポータルの説明ページにも応用ができます。

楽天市場やYahoo!ショッピングのページを作り込むときや、Amazon商品ページの写真や説明文を考えるときにも有効なのです

 

その他、細部のポイントについて書きます。

まず、トップ部分のつかみが命です

着地したページで、訪問者が興味をもってスクロールするかどうかは、2〜3秒で決まります

つまり、スクロールする前のアタマ部分で、いかにつかむかが重要なのです。
逆に言えば、つかめなければスクロールすらされないのです。

ここでは、痛烈なキャッチコピーが必要です。

リスティング広告からのリンクを受けるページの場合、リスティング広告のキャッチコピーやメッセージと意味やトーンを合わせることが必須です

見込み客がリスティング広告の提案、問いかけを受けてクリックしたものの、リンク先のランディングページではまったくそのことに触れていないとしたら、「?」がアタマのなかに浮かぶことでしょう
とうぜん、成約や資料請求には至りません。

 

そして、あなたの商品が右脳商品であれば、イメージ画像を多めにします

左脳商品であれば、エビデンスなどのデータや根拠、説明文を厚くします

ご存知だと思いますが、右脳商品とは、イメージで買われるものです。
化粧品やアパレル、趣味品などは右脳商品に分類されます。

パソコンや家電、書籍、商用車などは、アタマで理解し、納得して買うものですので左脳商品ですね。

また、見込み客が不安を抱く可能性があるなら、これを解消するオファーをします

たとえば、購入金額が大きくなるが、本当に効果があるのだろうか、と不安を持たれるなら、「30日以内は完全返金保障」というオファーを明記する必要があります。

 

とにかく見込み客になり切って、あるいは既存顧客や社内の営業担当者にインタビューをして、その心境を探り当ててください

じつは、こうした想像力こそが「マーケティング脳」なのです。ですので、ペラ1枚で勝負するランディングページをつくっては結果を検証することは、なによりあなたのマーケティング脳を育てることになるのです

 

 

■ランディングページの完成へ

最後に、ランディングページの見本を見てみたくありませんか?

ありがたいことに、さまざまな商材のランディングページのリンクを集めてくれているサイトがあります

私も、ランディングページをつくるときはチラチラ見て参考にしています(爆)。

→ ランディングページ集めました

 

こうしたサイトも活用し、あなたがランディングページの企画や構成ができるようになれば、あとはウェブページ化してもらう作業だけが残ります

これは、いつものウェブ制作会社さんに発注してもよいですし、クラウドソーシングを活用することもできます。

ランサーズやクラウドワークスで発注する場合、3万円〜4万円も出せば、多くのクリエイターさんが名乗りを上げてくれるでしょう

なにしろ、いまでは多くの作成ツールがあるので、慣れている人にとってはさほどたいへんな作業ではないのです。

 

料金の高いウェブ制作会社のほうが、いろいろ考えてやってくれるから価格が高くてもよいのではないか、と考えるかもしれません。

しかし、私はそうではない制作会社をたくさん見てきました。

たとえば、モバイルフレンドリーが当たり前になりつつある時期だったにもかかわらず、フレンドリーではないサイトを納品しようとしていた業者がいました。

内部ソース記述が、まったくSEO的にアウトなサイトを納品していた業者もありました。

かっこいいデザインのみで、技術の価値説明が意味不明な商品サイトを納品していた業者(じつはグラフィックデザイナー)もありました。

企業の独自ドメイン管理を人質にして、作業もしないのに高額な月額料金を徴収しつづけていた業者もありました。

もとは印刷会社で、ウェブの経験も知見もないのに受注して、作業のすべてを外注していた業者もありました。

いまでもなくならないのは、初期費用0円! で契約をとり、しかし月額料金が不当に高い詐欺のようなウェブ業者です。

 

だいたい、私が支援先企業から新規でご相談をもらうきっかけの何割かは、「ウェブサイト制作会社に不信感を持ったから」というものです。

もちろん、すべての制作会社がよくないということではありません。

しかし、あなたや社内の担当者さんが、よい業者を見つけるのはなかなかむずかしいでしょう。

「キーワード選定」に関して、きちんと自説やノウハウを語れる業者さんなんて、日本に何人もいないのですから。

ということで、対価が高くなりがちな企画の部分は、ぜひ自社で内製化してください

それができれば、あなたの選択肢は大きく広がり、コストも下がるわけです。

 

 

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製造業のマーケティングコンサルタント、弓削 徹(ゆげとおる)でした。

 

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本コラムは、ものづくりの現場での気づきや日々の雑感、製造業のマーケティングや販路開拓に関するノウハウなどをお伝えするものです。 お気づきのことやご質問、ご要望などがありましたら、お気軽にメッセージをお寄せください。

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