コンテンツマーケティングのA to Z
まず、コンテンツマーケティングとは何か?
コンテンツマーケティングとは、ウェブサイトに有益な情報を掲載することで信頼と訪問を集め、コストをかけずに販路開拓をする手法です。
本記事では、コンテンツマーケティングの効果と、手順および留意点について解説します。
●本記事の項目
A・狙うキーワードを決める
B-1・ブログ/コラムを書く
・タイトルにキーワードを入れる
・2,000字以上で書く
・WordPressを使用する
・SNSで告知・拡散をする
…【事例1】
B-2・技術情報サイトをつくる
…【事例2】
…【事例3】
訪問者から頼りにされる価値ある情報が掲載されているサイトを、Googleの検索エンジンは評価します。
評価が高いサイトは、検索結果ページの上位に表示されます。
とうぜん、オーガニック(自然検索の結果)で訪問者を増やすことができる。
また、「役に立つページ」としてリンクを貼ってくれる外部サイトも出てくる。
つまり、結果としてSEO的に優位となるわけです。
近年、コンテンツマーケティングという手法が注目されるようになった背景には、一方的な“売り込み”が受け入れられない時代になったこと、ユーザー側に購入判断力と決定権が移ったことがあります。
「売り込み」(プッシュ)ではなく、役に立つ、問題解決になる、相談したくなる、発信の仕方(プル)です。
これは、いわゆるブランディングにも直結する手法であると考えられます。
ちなみに、早期立ち上げではリスティング広告をお勧めしているのですが、両者には成約率に差があります。
ある調査によると、リスティング広告からの平均成約率は1%であるのに対し、コンテンツ記事による平均成約率は3〜4%にもなるとの結果が出ました。
リスティング広告の効果が一時的なものであり、SEO対策テクニックが過渡的なもの(Googleがルールを変えるため)であるのに対し、コンテンツマーケティングは手間はかかるけれども裏切られない長期的な手法といえるでしょう。
技術的背景を固め、それを真っ正直にコンテンツとして発信し続けられる企業こそが、信頼できる組織としてユーザーのアンテナに引っかかる、ということになるわけです。
また、ウェブで問い合わせをする段階で、顧客は「必要な検討をほぼ終えている」といいます。
それは購入に際して研究が必要な商材ほど顕著で、クルマは97%、ハイテク製品は92%という調査データがあります。
つまり、日頃からウェブで専門情報を良心的に発信し、「ここのサイトは役立つ」「この会社は信頼できる」「ここに発注すれば間違いない」というステップで見込み客を啓蒙・育成することが有効なのです。
そのためのウェブサイト戦術が、標題のコンテンツマーケティングということです。
コンテンツマーケティングはリスティング広告のようなコストはかかりませんが、継続して時間をかける“コスト”と根気が求められます。
コンテンツマーケティングを実践するための項目について書きます。
A・狙うキーワードを決める
まず、ターゲットを絞り込みます。
〇〇地域の、〇〇分野の、〇〇の担当者、というように。
そうすると、それらの見込み客が何に困っているか、どんな課題を抱えているのか、何について知りたがっているのか、どのキーワードで検索をするのか、が見えてきます。
そこに刺さるキーワードをリストアップすればいいのです。
キーワードを思いつかない場合や、モレをなくすためには、次のようなサイトを参考にしてください。
キーワードが決まれば、あとはコンテンツを生み出していくのみです。
では、どんなウェブサイトをコンテンツマーケティングの舞台とすればよいか。
いくつかの方法について解説します。
B-1・ブログ/コラムを書く
前項でリストアップしたキーワードに関連して、アウトプットできるコンテンツを企業ウェブ内に記事やコラムとして書いていきます。
途中で齟齬が起きないよう、出せるコンテンツの目次構成をつくってから書き出すとよいでしょう。
書籍の目次のように項目出しをするのです。
ノウハウを整理しつつ、目次を体系的につくる上ではマインドマップが便利です。
そして、実際にカテゴリー別の目次ページをつくることをオススメします。
そうした整理ページがあることで検索されやすく、わかりやすくなります。
全体像が見えるつくりにしてあげると、自然と滞在時間も伸びます。
留意点を以下に書きます。
・タイトルにキーワードを入れる
各記事のタイトルを書くときには、扱ったキーワード自身をタイトルそのものに含ませます。
しかも、タイトルの頭のほう、つまり左寄りに入れるとGoogleがキーワードとの関連性が高い記事であると認識してくれやすくなります。
・2,000字以上で書く
以前は「ページ数が多いこと」が有益なサイトの条件とされていました。
そのため、キーワードだけをパラパラと置いた空虚なページを無数につくることでSEO対策をするケースが頻発。
そこでGoogleは、「ちゃんと長文でなければダメ」と評価基準を改めました。
そのため、2,000字以上の記事を書くことが求められます。3,000字以上書くと、なおよいという意見もあります。
・WordPressを使用する
近年のサイトは、その多くがWordPressというウェブ制作ソフトを使用してつくられています。
基本的に無料で使えますし、デザインテンプレートが豊富。なにより記事の更新が社内で容易にできます。
ソースコードの内部構造がSEOに適しているとされ、SEOに有効なプラグインも数多く用意されているため、Googleに愛されやすいといえます。
とはいえ、Googleのエンジンだけでなく、困っている生身の人に刺さる有用な情報でなければなりません。
・SNSで告知・拡散をする
訪問者を増やす方法についてはこちらの記事で書きましたが、更新したらツイッターなどで告知をしたり、動画を掲載してYouTube検索に対応するなど、SNSの活用・連携をはかります。
メルマガを発行しているなら、本文内に「詳しく書いた記事を参照」としてリンクを貼るなど。
本当に地道な努力が必要ですね。
【事例1】
事例を兼ねて表明しますが、弓削徹の本コラムも、だいたいは以上のような点に留意して書かれています。(文字数や構成、タイトルのつけ方を見てみてください。)
目的も、社内で解決しようとする担当者さんの役に立つことと、弓削がインチキコンサルではないと理解してもらうことの2点です。
「マーケティングコンサルタント」には悪徳やインチキな人も多く、頑張っているけれどできない人も含めれば9割はハズレです。
ご依頼をいただくかどうかは別として、そういう人たちと一緒にされないためにもコラムを書いています。
B-2・技術情報サイトをつくる
技術情報サイトとは、自社が得意とする技術・製品分野における情報、解説を掲載するサイトです。
自社の企業サイトとは別に立ち上げます。
課題を抱えた見込み客が検索によって訪れ、課題の原因を見つけたり、解決策などを知ることができます。技術解説や用語集など、こんこんとつくっていきます。
そして、専門家に依頼しなければならない部分については、「これだけ詳細な情報を持っている企業があるなら、そこに頼むのが早い」と考えて引き合いにつながる、という結果を生みます。
また、情報を蓄積していくのでおのずとページ数は多くなり、必要なら動画も掲載することで、オーガニック(ふつうに検索した結果)での上位表示にも強いサイトとなります。
売り込みよりも情報提供に徹したサイトがあると、Googleの検索エンジンは有益なサイトであると判断、評価するのです。
検索結果の上位に表示され、親切に情報を掲載しているサイトがあったら、やはり見込み客は(頼むならここでいいのでは)と思い込むわけです。
そうした役割を果たす技術情報サイト。
競合より先に、あるいはより良いサイトをつくらなければならないでしょうね。
ページの構成、デザインとしては、写真や図解、場合によっては動画を活用して、わかりやすく伝えるものにします。表示スピードは速いに越したことはありません。
【事例2】
茨城県H市には巨大な総合電機メーカーがあり、かつてはここの仕事をやっていれば安泰でした。
しかし、1990年代からのケイレツ解体、下請け体制の崩壊にともない、ある研削会社も将来が見えなくなりました。
そこで社長が、工場内で自社工程向けに磨いてきた「工具の再研磨技術」を外販することにしたのです。
その技術とは、工具や治具の先端を研磨し直すものなのですが、いままで2本の工具を必要としていたものを、研削方法を工夫することによって1本で済ませることができるなど、ユニークなもの。
言葉による説明だけでは伝わりづらい技術であるため、企業サイトとは別建ての技術情報サイトをつくり、こういう事例がある、これだけのコストダウンになったなどを掲載。解説の小冊子も制作して配布しました。
その結果、H社の競合ともいえる会社も含め、全国から引き合いが来るようになり、派生するカタチで取引が増えていったのです。
※現在はデザインが改編されています。
【事例3】
私のある支援先企業の競合は、大学の講義を思わせるバインダー風のページをつくり込み、技術関連の用語や基本的な情報を上手にまとめて発信しています。
その結果、技術的には決して優位ではなくても、ユーザー企業からは業界のリーダーとして認識されている部分もあり、警戒と対策が必要であると考えています(競合ですから)。
一般のお客様にとって、どこの企業が技術に優れ、シェアトップなのかという事実は、その気で調べなければわかりません。
これはもう、リーダー企業としてのブランデイングができつつあるといわざるをいえません。
さて、コンテンツマーケティングとは「売り込まないセールス」であるといえます。
リスティング広告やSEOと比較すると手間がかかり、コストも社内工数を考えればタダではありません。
それでも長期的な費用対効果は高くなりますし、「売り込まない」専門家集団として認識してもらえるブランディング効果ははかりしれません。
いまは大手企業が業者に発注して「専門的な記事」を何百、何千と量産してSEO対策を講じるという事例が増えています。
しかし、ある医療系のサイトで不正確な記事が掲載されて問題になったように、玉石混交である場合が少なくありません。
どんどん賢くなっているGoogleの検索エンジンも、こうした物量戦術を見抜く段階に来ています。<→こちらの記事の■第1ステップ(2 :SEO対策)内、「EAT」の解説をご参照ください。>
小手先のSEO対策ではなく、まっとうなウェブサイトこそを評価して上位に表示する傾向を強めており、企業の規模や投下コストではなく、「本当に詳しい人が心を込めて書いているか?」を評価するようになっていくことと予想します。
あなたが熱心にコンテンツを書いて蓄積していけば、毎年のように起こる検索アルゴリズムの変更にも右往左往する必要がなくなるでしょう。
製造業のマーケティングコンサルタント、弓削 徹(ゆげ とおる)でした。
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