商品開発の前に考えるべき事項
本記事では、商品開発の準備段階で考える必要のある5つの項目について書きます。
商品開発の準備として、市場や既存品を取り巻く環境はどのようになっているのか、どのように開発テーマを見つけて行ったらよいのかを考える段階があります。
では具体的には、どんなことを考えたり、検討していくべきなのでしょうか。
商品開発の手順をはじめる前に、ぜひ手をつけて欲しい項目があります。
(1)なぜ商品が売れないのか、買わない理由は何か?
(2)いま市場の傾向はどうなっているか?
(3)自社の強みは何か、他社との違いは何か?
(4)先行指標となりえる他分野はあるか?
(5)どんな技術が可能になっているのか?
これら5項目について、説明していきます。
(1)なぜ商品が売れないのか、買わない理由は何か?
まず、既存品の販売が不調なら、その理由はどこにあるのかを客観的に特定します。
売れなくなった理由の代表例を挙げます。
●商品が売れなくなった理由
・低価格商品が出た ……34.8%
・生活ニーズが変化した ……24.4%
・代替品が出た ……16.3%
・高品質な商品が出た ……8.9%
・規制強化(緩和)で市場が消えた ……3.7%
・その他 ……11.9%
分野によって、もっといろいろありますよね。具体的な例をあげましょう。
一時は誰もが大好きで食べていたスナック菓子が、生産中止になる。
つまり、市場から消える日が来たりするわけですが、いまでもじゅうぶんにおいしいのに、なぜそうなってしまうのか。
●定番のお菓子が生産終了になる理由
・手が汚れるタイプはスマホとの相性が悪い
・カロリーオフ、乳酸菌入り、食物繊維たっぷり、などの付加価値商品が人気になってきている
・飽きて卒業する人たちの数に比べて、エントリーする若者の数が減少
・流通サイドのプライベートブランドにマネされ、安く売られる
・大手チェンは定番よりPOSを頼る
……イメージとしては、「カール」などでしょうかね。
(2)いま市場の傾向はどうなっているか?
現在の市場がどのように、どれだけ厳しいのかを知る必要があります。
上述の、スマホと相性が悪いから売れなくなった、のようにターゲットの動向や習慣、扱い方は変化します。
それが、どちらの方向へ移動しているのかがわかれば、その指向性に沿った新商品アイデアを考えることもできるわけです。
また、あなたの会社に、ムダなマーケティング調査を継続的におこなえる余裕があればいいのかもしれません。
しかし、そんなムダな経費を使わなくても、市場動向をはかる方法はあります。
それについては別に記事を書きたいと思いますが、ここではシンプルなことについて記しておきます。
それは、あなたの会社より大きくて、マーケティング部や宣伝部なんかがあるような会社が、最近、どんな商品をリリースしたかに注目するのです。
最近のヒット商品でもよいのですが、それだとちょっと遅いかもしれません。
いわゆるリーダー企業の端緒となる動向を、脇からおカネをかけずに盗む、いいえ学ぶのです。
カッコよく言えば、ベンチマークするわけです。
ただし、よくある失敗は、大手企業のようなボリュームゾーンを狙って価格競争で流血する、あるいはニッチを狙いすぎて鳴かず飛ばず、というもの。
この、「どっちの道をいくか」が、血のにじむほど唇を噛むリーダーの判断なのです。
(3)自社の強みは何か、他社との違いは何か?
これは、いつも述べていることですが、新商品アイデアを考えるなら、いい機会ですので、あらためてあなたの会社の強みやウリ、他社の追随を許さない得意なところを書き出してみてください。
たとえば、技術、デザイン、生産設備、人材、サービス、イメージ、顧客層、流通、廃棄物・副産物などなど。
他社がマネしづらく、あなたの会社の利益率向上に貢献するのは、結局は強みが全開になった商品です。
正直、マクロ経済など関係ありません。
いま武漢ウイルスによって日本、いや世界経済がどれだけ疲弊しようと、あなたのメインの顧客企業である3、4社が好調であれば、あなたの会社も好調なのです。
中小ものづくり企業は、よくもわるくも「ミクロ経済」に生きているのです。
(4)先行指標となりえる他分野はあるか?
これは、ズバリ同業者というより、異なる分野に文化や流行的に牽引されていることがありえる、という話です。
たとえば、デザートや洋菓子メーカーはアパレル企業がリリースする色調やデザイン傾向をウオッチングしています。
そこに、同様の心象的ニーズのタネがあるというわけです。
たとえば、株式投資などで、〇〇セクターが好調になると、次に〇〇〇セクターがつられて株価が上がる、などと言われる相関関係を持つ業種同士もあります。
あなたの業種では、そういう先行指標になりえる分野があるかどうか、考えてみてください。
(5)どんな技術が可能になっているのか?
これは業界内の技術に限りません。
他分野の最先端技術でも、それを導入することで自社の分析機の精度が飛躍的に高まるようなことはよくあります。
また最近は産学協働といって、大学の研究室が当てもなく磨いてきた高度技術が民間企業の職人によって開花したという例もよく耳にします。
あるいは、最新技術でなくても、「枯れた技術」やアナログな技術が、既存品をブレイクスルーされるような例は枚挙にいとまがありません。
自社内に眠っている、見向きもされない過去の技術や特許、知財も同様です。
使えるものは何でも光を当てて、生かしてあげてください。
凡庸なマーケティングコンサルタントが推奨するような「マーケットイン」とか「ニーズ開発を」など、とぼけたことを唱えていては、「あっ」と言われる商品は生まれてきません。
その他、社内の有志で次のような項目も併せて検討してみていただきたいのです。
・国内/世界シェアの増減傾向はどうなっているのか?
・ブレーンストーミングを、顧客/ブランド/流通チャネル/技術をテーマに実践
・現場、売り場からはどんなニーズが上がってきているのか?
・どういう商品がトレンドであり、消えゆく商品か?
・今後、ユーザーは何を求めるのか?
・デザインの傾向はどうか?
・購入価格の相場推移は?
製造業のマーケティングコンサルタント、弓削徹でした。
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