サイトで引き合いを得る方法
本記事では、ウェブサイトを訪れてくれた見込み客から引き合いをもらう方法について書きます。
いまや、ネット上には同業や競合といえるようなウェブサイトは数えきれなくあるでしょう。
だからレッドオーシャンなのですが、社員数も多くない中小企業であれば、顧客の一部と接点を持つだけでも売上は立ちます。
出会いは縁や運のもの。ただ、日頃から努力して、それを招くのみですね。
■サイトに必要なコンテンツ
ウェブサイトをつくる以上、目的を明確化しておく必要があります。
IT企業風に言えば、カスタマーズ・ジャーニー。すなわち、顧客がどんな行動、思考を経て発注に至るかに寄り添う作戦です。
ここで重要なのが、いつも申し上げている自社のウリです。
他社ではなく、あなたの会社に発注する理由。
これを、あなた自身が理解していなければ、他者を説得することはできないでしょう。
そのウリをメッセージ化、ビジュアル化して見込みユーザーを迎えるのが、あなただけのウェブサイトのスタイルです。
ウチでしか得られない価値、ソリューションは何か。
これをきっちりとコミュニケーションすることが、引き合いにつながるサイトづくりの、いちばんのキモになります。
誰に、何を伝え、どう行動して欲しいか
これに基づいて、コンテンツ項目を決めていきます。
■コンテンツをそろえましょう
次のような要素を、自社の業者や強みに合わせて取捨選択し、ウェブ構成に反映します。
・ウリの表明
選ばれる理由/強み/得意技術・分野/ソリューション/コンセプト、ミッション
・事例・実績
導入事例、加工事例/製品一覧/顧客の声・推薦/グッドデザイン賞受賞/ISO
・体制紹介
事業案内/特長・技術/生産設備/工場案内/スタッフ/企業物語
・ドアノブ
小冊子プレゼント/メルマガ登録/技術レポート/資料請求/サンプル送付/CAD図面ダウンロード
・問い合わせ 他
フォーム/見積もり/FAQ/工場見学/納品の流れ/サポート窓口/求人
・会社案内
企業理念/代表挨拶/組織・沿革/グループ会社/取引先/CSR
そのほかでは、既存ユーザーに登録してもらい、消耗部品をダイレクトに買ったり、取説がダウンロードできるようにする会員組織を設置しておくことも有効です。
近年は、1〜2分、眺めているとすべてわかるという説明動画を活用することも有効です。
動画が置かれたページは、検索結果の1ページ目に表示される確率が最大50倍になるという調査もあります。
また、競合企業のウェブサイトを調査し、成績のよいやり方を分析して模倣するというやり方もあります。
調査内容としては、各社サイトの「コンテンツ項目」「訪問者数」「平均滞在時間」「平均ページビュー」「直帰率」が対象です。
業界の数社を調査してグラフ化し、成績のよいウェブサイトを研究・分析することで、ユーザーが求めているコンテンツに気づくことができます。
これらの調査はMETA SEO inspectorやSimilar Webを活用すればできますが、登録やダウンロードの手間と時間もかかりますので検討してみてください。
基本は、訪問者に「この会社はよさそうだ」「ここに依頼すればいい」と考えてもらうことがゴールです。
あるいは、そこまでいかなくてもメールアドレスなどを残してもらい、継続的な関係性をつくることにつなげたいのです。
■ドアノブがカギになる
上のリストにある「ドアノブ」とは、家を訪問するときにまず触れる玄関のドアノブのこと。ピザの宅配チェーンなどが、ドアノブに引っかけるカタチのチラシを残していくイメージです。
つまり、あなたの会社とお客様とのファーストタッチを生み出すしかけのことを指します。
コンテンツを読んで信頼ができる会社だと判断してもらい、問い合わせなどのアクションを起こしてもらうのです。
このとき、ただ単に「お問い合わせください」ではアクションが起こりづらいけれど、「いまなら『設計のコツ』PDFをダウンロードできますよ」と誘うと、ニーズの近い訪問者を選別しながら引き寄せることができるわけです。
ドアノブのしかけにはいろいろあります。
前掲の、小冊子プレゼントやメルマガ登録、技術レポート、資料請求であれば、デジタルデータですむので、コストがかかりません。ステップメール、CAD図面ダウンロード/情報動画・音声なども同様です。
これらの情報を欲しがるのは、ニーズもやる気もある会社さんですので、リストをいただくのにはもってこいです。
その他、実サンプル送付、社内で開催するセミナー・勉強会、またはなんらかの無料診断なども、顔を合わせることになるので双方、たいへんですが、発展性も大きいといえます。
継続してウェブサイトを訪ねてもらう理由として、役に立つブログを更新しつづけるというゆるやかなやり方もあります。
●ドアノブ施策の例
・小冊子プレゼント ・技術レポート ・情報動画・音声
・メルマガ登録 ・ステップメール ・CAD図面ダウンロード
・資料請求 ・サンプル送付 ・モニター募集
・無料診断 ・セミナー・勉強会 ・ブログ など
■問い合わせフォームを適正化する方法
さて、さまざまなドアノブのフックにより、問い合わせフォームに記入してもらう段階になったとします。
ところが、「ここまで来ればもう安心」とフォームを雑なつくりにしておくと、途中で記入がめんどうになった訪問者の離脱が起きたりします。
細かい話で恐縮ですが、以下のチェックリストを見ながら親切な問い合わせフォームを構築しておきましょう。
●問い合わせフォームの最適化リスト
□ フォーム上部に、お礼の挨拶メッセージを短く入れておく
□ 記入項目はできるだけ少なくする(必須にしなければいいわけでもない)
□ 記入画面には他要素のリンクやバナーは一切表示しない(離脱の要因)
□ 上部に、[入力]─[確認]─[完了]と表示し、現段階がわかるようにする
□ 中高年にも記入しやすいように、入力ボックスとフォントは大きめにする
□ 未入力のフォーム内はグレーに、入力しはじめると白く変化するように
□ スマホでは、入力項目に応じたキーボードを表示するようにする
□ 入力が必須の項目を[必須]と赤などで明示、残りの項目数も明示する
[ 必須項目が12項目あります。 残り10項目 ]
□ 郵便番号を入力すると住所が自動的に埋まるようにする
□ 英数字の全角(半角),大文字・小文字,ひらがな,カタカナ,ハイフン有無は指定しない
□ 入力ミスは、バルーン(吹き出し)などでリアルタイムに表示する
(記入終了後や「内容確認」後に指摘すると離脱が起きる)
□ 個人情報保護の記述を下部に入れておく
□ 必須項目の入力が終了してから送信ボタンを表示する
□ 送信ボタンは大きくする
□ 情報メール送信の同意をデファクトにしておく
「○○からの情報メールを受け取る」(任意にするとほとんどがチェックを入れない)
□「こちらも参照」や、SNSなどの遷移、拡散ボタンは申し込み終了後に表示
上記のリストをあなたが依頼するウェブ制作会社に見せ、どこまで実現するべきかを話し合うと早く進むでしょう。
こうした対応をしてくれない、あるいはめんどうくさがるような業者は、あなたが付き合うべき相手ではありません。
■ファンをつくる物語を伝えよう
弓削が支援先企業の企業サイトをつくるとき、必ず設けるのが企業の物語ページです。
それは創業の物語であったり、商品開発の苦労を伝えるものであったり、企業理念のもととなった出来事であったりします。
物語ですので、どうしても文章は長くなります。それゆえ、読まれないことも多いのは覚悟の上です。
しかし、読んだ人は、読む前よりも確実にその企業のことを好きになってくれる。ファンになってくれる。
そういうストーリーです。
そもそも私たちは、読み聞かせをせがんでいた子供のころから、物語が大好きです。
ドラマの視聴率がよい、わるいなどと話題になりますが、人気の女優、俳優が出演しているから視聴率が高くなるわけではありませんよね。
ストーリー展開が面白いドラマの視聴率が高くなり、そこに出ていた女優、俳優が人気になっていく、という順番ではないでしょうか。
この物語を、企業が上手に発信していくことができれば、強く記憶され、ファンを生み、知人に口コミまでしてくれるのも夢ではありません。
ウェブサイトの1ページに、そうした企業の物語を掲載することはやらなければソン、というものです。
とはいえ、こう話しますと「ウチの会社には、そんないい物語はないですよ」と返されることがほとんどです。
よく考えていただければ、歴史のある会社なら過去になんらかのドラマがあったはずです。
「それもないですねぇ」という会社も、こだわりの商品や材料、特長、機能はあるでしょう。
この「こだわり」だけでは物語にはなりません。
しかし、なぜそこにこだわったのか、最初の気づきはなんだったのか、あるいは創業の決心は何が理由だったのか、そこまでさかのぼると、物語になるのですね。
どうか、社長自ら共感を呼ぶ物語を書き、ウェブに掲載してください。すぐには手ごたえがなくても、読んでくれる人は読んでくれているものです。
製造業のマーケティングコンサルタント、弓削 徹(ゆげ とおる)でした。
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